(画像はイメージです/PIXTA)

節税対策の情報が溢れかえる現代で、どこから手を付ければよいかわからない経営者も少なくないでしょう。消費税に関わる「インボイス制度」施行が迫り、「電子帳簿保存法」の改正が起こるなか、「本当に税を節約できる」方法や、やってはいけない節税対策について、冨田健太郎氏・葛西安寿氏の著書『小さな会社が本当に使える節税の本』(自由国民社、2022年8月30日発売)から一部を抜粋してご紹介します。

 

日本よりアメリカ不動産のほうが節税効果は大きい

「コインランドリー節税」と同様に、節税商品として人気なのがアメリカ不動産。「海外の不動産」と聞くと抵抗がある方もいると思いますが、日本の不動産に比べて減価償却可能な金額が大きくなるため、節税に有効です。

 

こちらも課税の繰り延べであることには変わりないため、突発的に多額の利益が生じたときの対策として有効な手法となります。

 

まず念頭に置いておきたいのが、不動産は大きく「土地」と「家屋」に分けられ、経費にできるのは家屋部分になるということ。土地については減価償却という概念がないため、1円も経費にすることはできません。

 

日本の不動産の場合、価格の割合が土地が70%、建物が30%程度の比率になっている物件が多いです。一方、アメリカの不動産の場合は、土地が20%、建物が80%程度の比率になっている物件が多くあります。そのため、アメリカの不動産のほうが減価償却可能な金額が大きく、同じ価格帯の物件でも節税効果が期待できるということです。

 

さらに、築22年以上の木造建築の場合、日本の税制上においては4年間で減価償却をすることができるので、物件購入価格の80%程度を4年間で費用化することができます。

 

[図表1]不動産価格6000万円の減価償却

 

さらに、不確定要素は高いものの、賃貸住宅として運用可能なアメリカ不動産の場合、表面利回り6%程度の賃料収入を得られることもあります。

 

日本の不動産は築年数の経過とともに価格が下落する傾向がありますが、アメリカの不動産は築年数の経過を問わず、不動産価格が下落しづらい傾向があります。節税のみならず、不動産投資としても大いに有効活用できるでしょう。

 

[図表2]不動産の耐用年数の計算

 

ただし、2019年度の税制改正において、個人が海外不動産を利用した節税に規制がかけられました。現時点では法人に対してアメリカ不動産を活用した節税策に規制はかけられていないものの、ドローン節税と同様に、節税策に規制はつきものです。今後の規制方針には十分に注意しましょう。

 

また、日本のローンと比較すると金利が高くなる傾向にあり、かつ、海外の不動産を管理する必要もあるため、管理会社によっては賃料が入金されないなどのトラブルも想定されます。

 

節税メリットを優先するあまり、このような注意点をないがしろにして、思わぬ損失を被らないためにも、慎重に検討することが望ましいでしょう。

 

 

冨田 健太郎

税理士

 

葛西 安寿

税理士

 

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