(画像はイメージです/PIXTA)

節税対策の情報が溢れかえる現代で、どこから手を付ければよいかわからない経営者も少なくないでしょう。消費税に関わる「インボイス制度」施行が迫り、「電子帳簿保存法」の改正が起こるなか、「本当に税を節約できる」方法や、やってはいけない節税対策について、冨田健太郎氏・葛西安寿氏の著書『【新版】小さな会社が本当に使える節税の本――ひとり会社・零細会社・中小会社まで使える!』(自由国民社、2022年8月30日発売)から一部を抜粋してご紹介します。

見積書や請求書は内訳を細かく記載する

固定資産を新規に購入する際は、なるべく細かい単位で見積書や請求書を記載してもらうことが肝心です。

 

なぜなら、10万円未満で固定資産としなくてよいものや、一括償却資産や少額減価償却資産の判断は、1単位ごとの金額に基づくからです。

 

たとえば、応接セットの場合は、テーブルとイスがセットになって機能するものなので、テーブルとイスのセットで1単位と考えます。また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、ひとつの部屋で数枚が組み合わされて機能するものなので、部屋ごとに1単位と考えます。

 

では、中小企業者等が社長室と副社長室、執務室を模様替えした場合について考えてみましょう。

「〇〇一式」とひとまとめにしない

見積書のカーテンの欄には、「カーテン一式55万円」と記載されていたとします。このままでは、55万円の固定資産の取得として処理するしかありません。

 

そこで、「カーテン一式55万円」の内訳を確認してみたところ、次の通りでした。

 

  • 社長室……15万円
  • 副社長室……15万円
  • 執務室……25万円

 

この場合、もちろん通常の耐用年数で償却しても構わないのですが、社長室と副社長室のカーテンは、一括償却資産、少額減価償却資産または減価償却資産、執務室は少額減価償却資産とすることも可能です。

 

見積書のカーテンの欄を「一式」ではなく、部屋ごとに記載してもらうなどの工夫をするだけで、少額減価償却資産かどうかの判断が明確になり、償却方法の選択肢を増やすことができるのです。

 

見積書などには、なるべく細かく内訳を記載してもらい、10万円未満のものや一括償却資産、少額減価償却資産とすることができるものがないか、よく確認することが大切です。

見積書は穴が開くほど確認する

見積書や請求書などの内容を、細かいところまで確認してから経理処理をしないと、税金を多めに負担してしまう可能性があります。なぜなら、固定資産にすべきものと、その事業年度の損金としてよいものなどが混在している可能性があるからです。

 

たとえば、機械を購入した場合の見積書を考えてみましょう。見積書の合計額は130万円で、その内訳は次のようになっていました。

 

  1. 機械の本体価格……100万円
  2. 機械を工場に設置するためにかかった費用……10万円
  3. 日頃のメンテナンスのために必要な潤滑油や軍手などの消耗品……20万円

項目を細かく分けて固定資産計上額を減らす

では、このうち固定資産に計上しなければならないのはいくらでしょうか。

 

固定資産の取得価額には、「その資産の購入代価とその資産を事業の用に供するために直接要した費用」を含めなければならないので、1.と2.は固定資産になります。3.は普段必要な消耗品を同時に購入しただけなので、固定資産に含める必要はありません。

 

[図表1]減価償却資産の取得原価額に含めないことができる付随費用

 

見積書の内容をしっかり確認しないと、110万円でよいはずの機械の取得価額が130万円になってしまいます。固定資産に計上する必要のないものは、なるべくその事業年度の損金としたほうがお得です。

 

 

冨田 健太郎

税理士

 

葛西 安寿

税理士

 

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冨田 健太郎・葛西 安寿

自由国民社

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