年収2000万円以上が所得税23.7%を負担
さらに詳細にみていこう。
年収800万円超の人は9.2%いて、所得税の64.3%を負担している。
そのうち年収1000万円超に絞ると4.5%いて、所得税の52.9%を負担している。
さらに年収2000万円超に絞ると勤労者全体の0.55%いて、所得税の23.7%を負担している。
この一方では年収400万円以下の人は55.1%を占めているが、所得税の9.7%を負担しているに過ぎない。
税収という面では、高額所得者ばかりから取り立てているのが実態だ。
この所得税の負担を、例えてみる。仮に町内会で宴会が行われたとする。参加者100人、予算1人あたり1万円という大宴会だ。
町内には年収1000万円以上の人が5人いて、1人あたり10万6000円の会費を払い、総費用100万円のうちで半分以上の53万円を負担した。
一方、年収400万円以下の人は55人いたが、払ったのは1人あたり1800円だけで、総予算のうち9万7000円を負担しただけだった。
宴会は裃(かみしも)の分け隔てなく同じ食事だった。酒が入ってくると、いいたい放題が始まった。
「おーい、酒持ってこーい」
「もっと、良い酒持ってこいよ」
「去年の懇親会より味が落ちているじゃないか?」
「なんで俺たちから会費を取るのかなあ? 来年からタダにしてくれよ」
「二次会に行きたいので、その分も出してくれないかなあ」
「帰りのタクシー代を出してくれ」
などという放言だらけになった。中には「町内会の懇親会に参加したので、働けなかった。給与の代わりになる給付金がほしい」といい出す輩もいた。
こんなやりとりを耳にしながら、隅っこで怒りを抑えているのは高額の会費を取られた人たちだった。
(まったく、もう)と、口にはできない不満を募らせて懇親会の最中に席を立ってしまった。
もし、本当にそんな宴会に参加を強制されたら大喧嘩になること間違いなしで、所得の高い人は怒って町内会を退会するだろう。
実はこれが税収の実態なのである。
この悪平等こそ、日本から活力を奪った犯人だというのが、筆者の主張である。
北見 昌朗
北見式賃金研究所所長
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