節税対策における法人化のメリット・デメリット
経験を経た不動産投資家の中には、一定の収益を超えた段階で「法人化」をする人もいます。法人化とはつまり会社をつくることなのですが、それまでは個人で投資をしてきたところから、会社を設立して不動産投資を続けていくケースも多いのです。
その理由としては、個人で不動産投資をしていると税金が高くなってしまうことが挙げられます。
とくに日本では「累進課税制度」がとられています。累進課税制度とは、所得(課税対象)が高額になればなるほど、税金の額も高くなる仕組み(=累進)のことです。
たとえば所得税の場合、課税される所得金額に応じて、最大45%の税率が課せられることになります。つまり、所得の半分近くが税金としてとられてしまうのです。
参考までに、課税される所得金額に応じて、どのくらい税率が課せられるのかをチェックしておきましょう。([図表2]参照)
このように個人の場合、収入が増えれば増えるほど税率も大きくなってしまうため、何らかの対策を講じる必要があります。
前述した減価償却費が計上できるうちは、経費によって所得金額を抑えることもできるのですが、それが切れてしまうと、一気に所得が大きくなることになるため注意が必要です。
そこで、法人化を検討します。法人の場合、課税所得金額が800万円以下であれば15%、800万円を超える場合は23・2%の税率となります([図表3]参照)。
個人の税率が、課税所得695万〜899万9000円まで23%、900万円を超えると33%になることを踏まえれば、「900万円」の所得がひとつの目安になると分かります。
ただし、税金に関しては売却時のことも考慮に入れておく必要があります。たとえば個人では、物件の所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」の場合、税率を20.315%に抑えることができます。このあたりは、所有している不動産をどうしていくのかも加味して、総合的に判断するようにしてください。
さて、法人化のメリットは税金面だけではありません。金融機関から融資を受ける際にも、法人のほうが有利であることが多いのです。