中古物件の償却年数は? 気を付けたい「デッドクロス」とは何か
減価償却は、手元の資金を減らすことなく経費を計上できるため、不動産投資家にとってはありがたい仕組みです。不動産投資の収益としては、減価償却費を加味しつつ、できるだけ黒字にもっていくのが理想です。
たとえば年間200万円の利益があり、減価償却費が190万円だとしたら、10万円の黒字です。これなら黒字を維持しながら税金も抑えられます。
とくに、保有する物件が増えれば増えるほど、減価償却費をどうコントロールするかが重要になります。とくに中古物件は、耐用年数が超過しているものも多く、その場合は4年で償却する方が多いです。
その場合、5年目以降は減価償却費としての経費がなくなってしまうのです。その結果、課税所得=支払う税金が多くなり、苦しくなっていきます。
不動産投資において大きな支払いは、やはりローンの返済なのですが、その内訳は「元金+金利」となります。
このうち元金は経費として計上することができません。加えて、減価償却費もなければ、手元の資金が減っているのに税金が増えていくことになります。場合によっては、利益よりも税金のほうが大きくなってしまうこともあるのです。
ローンの元金返済額が減価償却費より大きくなることを、「デッドクロス」といいます([図表1]参照)。
デッドクロスになると、帳簿上は黒字であるのにもかかわらず、手元の資金が減ってしまいます。税金を加味した利益(CF)がマイナスになってしまうと、いわゆる「黒字倒産」ということにもなりかねません。
そうならないよう、中古アパートの購入時には、税理士などの専門家に相談してみてください。耐用年数を超過した物件は4年が基本となりますが、あくまでも「最短4年」なので、使用期間に応じて減価償却できる場合もあります。
あるいは、減価償却が切れてしまった物件を売却し、別の不動産などに入れ替えていくのもひとつの方法です。そのとき、売却も交えながら複数の物件に投資してきた、トライアングル不動産投資の実践経験が役に立ちます。
その他にも、戸建てを新たに購入し、修繕などの費用で経費計上することもできます。ただ、その場合も、手元の資金をなるべく使うことなく、上手にやりくりしていくのがポイントです。
このデッドクロスの影響を最も受けやすいのは「融資を受けて購入した築古中古アパート」です。だからこそ、中古アパート一本に絞り続ける考え方を変え、「修繕が必要な(つまり経費計上が必ず起こる)ボロ戸建て」や「建物比率を大きく取れる新築アパート」にも目を向けておく必要があるのです。
減価償却は、不動産投資においても重要な点となります。引き続き勉強を重ねるなど、より理解を深めていきましょう。