難易度は「自転車がこげるようになる」と同程度
和田 なるほど。自転車に乗れるようになった過程を、お父さんは今、当たり前のようにおっしゃっていましたよね? スプリント習得も、難易度は同じくらいです。もちろん、ランニングの走り方が唯一の走り方として刻み込まれているので、最初はうまくいかないことも出てきます。
しかしそれは、自転車の練習で転ぶのと同じです。適切なトライ&エラーを繰り返していくうちに、できるようになっていきますよ。
父親 えっ、スプリントというと陸上選手の走り方ですし、専門的で難しいイメージがありましたが、それくらいのものなんですか?
和田 はい。それこそ自転車って、一度覚えてしまえば、歳を重ねても、しばらく自転車に乗っていなくても、まったく乗れなくなることってないですよね。
速く走る方法であるスプリントは普通に生きていたら学ぶ機会がありませんが、学びさえすれば自転車に乗るのと同じように誰でもできるようになります。特に子どもは、今習えば、自転車と同じようにその後の長い人生でずっとスプリントで走ることができるんです。
実際に、小学生の子どもから、Jリーガーやプロ野球選手などのプロアスリートまで、本当に多くの方がスプリントテクニックを習得し、習得前より足が速くなったと実感なさっています。
父親 ……和田さん、私にも、習得できますか? 今年で40歳になりましたし、近頃はろくに運動もしていませんが……。
和田 もちろんです! 全国の同年代の方でも足が速くなった方がたくさんいらっしゃいます。そしてこのスプリントテクニックは、陸上以外の野球やサッカーといった競技にも活かすことができます。
父親 なるほど。ちなみに、どれくらいの期間練習すれば、スプリントテクニックを習得し、足が速くなれますか。
和田 習得できる時間には個人差があるのですが、今日お伝えするテクニックを、手順どおりに1ヵ月~3ヵ月間かけて実践していただければ、習得していただけると思います。もちろん、習得度合いの違いはありますが、その日からタイムが大幅に縮まる人も珍しくはありません。
父親 ……スプリントテクニック、教えていただきたいです。息子に自信を取り戻させてやりたい。息子がサッカークラブで活躍できるようサポートしていきたいんです。
和田 お父さんの熱意、受け取りました。これからスプリントテクニックを習得するための7つのSTEPを段階的にお伝えしていきます。
父親 7つ。それだけでいいのですか?
和田 はい。それだけで大丈夫です。
最初は半信半疑だったが、さまざまな切り口から話を聞き、少しずつ希望を抱き始めている自分に気づく。
(息子の足が、速くなるかもしれない……)
そうであるならば、なんとしてもこのスプリントテクニックを自分が習得して、息子に伝えたい。
頭上を覆っていた分厚い雲の隙間から、ひと筋の白い光が差し込んできた。
和田 賢一
走りの学校 校長