ボルトとの練習でたどり着いた、速い「走り方」
STEP1 ベースポジション
父親 最初は、どんなことを習得していくのでしょうか。あまり難しくないといいのですが……。
和田 ご安心ください。はじめに身につけるテクニックは非常にシンプルです。まずは足が速くなるために必須となる姿勢「ベースポジション」をお伝えしていきます。
父親 ベースポジション? 聞き慣れない言葉ですね。
和田 そうですよね。でもベースポジションは、その名のとおり、速く走るための「土台」となります。泳ぎでいうと浮くことと同じように、速く走るために絶対に必要な条件なんです。
和田 この姿勢のことを、「ベースポジション」と呼んでいます([図表1]参照)。
父親 え、身構えてしまっていたのですが、意外と簡単そうな姿勢ですね。腿上げってことですね?
和田 半分は正解ですね。
父親 半分ってどういうことですか?
和田 ではご説明させていただきます。まず、基本用語を解説してから、説明に入っていきますね。
〈基本用語の定義〉
浮き足:地面から浮かせて前へ振り出す足
着き足:地面に接して身体を支えている軸の足
接地時間:着き足が地面に着いてから離れるまでの時間
足の速い人=秒速10mで走る人
和田 お父さん。そもそも、足が速い人とはどんな人を思い浮かべますか?
父親 え、どうでしょう。やっぱりボルト選手とか、サッカーでいうとクリスティアーノ・ロナウド選手あたりでしょうか?
和田 ありがとうございます。両選手ともめちゃくちゃ速いですよね。なんとなくのイメージをつかんでいただけたところで、より具体的に定義するために、今度は数値でも考えていきましょう。
足が速い人は100mを何秒で走ると思いますか?
父親 100mだから……オリンピックなんかを見ていると、だいたい10秒くらいで走っていますよね。
和田 そうですね。100mを10秒くらいで走る人は、単純計算で1秒間に10m進んでいるということですよね、お父さん。
父親 つまり秒速10m。
和田 ちなみに9秒台を出すには最高速度のときに、秒速約11.7mが必要と言われていますが、世間一般に速いと言われたり、球技スポーツで俊足と言われたりする選手の速さは秒速10mほどです。だから「足の速い人=秒速10mで走る人」と定義できます。