「走り方」には2種類ある!両者の決定的な違いとは
STEP2 「地面スイッチ」と「空中スイッチ」
父親 ランニングとスプリントは、姿勢以外にどんなことが具体的に違うんでしょうか?
和田 両者の決定的な違いは、〝足を入れ替えるタイミング〟の違いです。
父親 タイミング……?
和田 ええ。「片足が接地した瞬間(正確には、加重した瞬間)に、浮き足が高く上がった状態のベースポジションができている必要がある」ということを、先ほどお伝えしました。そして僕たちは、走りながらそれをできるようになる必要があります。
父親 はい。そこまでは理解できています。
和田 ありがとうございます。では、そこからもう一歩踏み込んで考えていきたいと思います。
ランニングテクニックでは、着き足を自分の重心の前に踵から接地します。そのとき、浮き足は身体の後ろにあります。ここから前後にある足を入れ替えるという動作が入ってきます。
父親 はい。そうですね。
和田 つまり、着き足を地面に接地してから前後の足を入れ替える。これを『走り革命理論』では「地面スイッチ」と呼びます。
父親 なるほど。ランニングは「地面スイッチ」なんですね。ではスプリントは?
和田 スプリントテクニックでは、着き足が地面に接地した瞬間には、浮き足はすでに身体の前方、そして高い位置に来ています。
父親 はい。先ほどのベースポジションですよね。
和田 そうです。つまり、着き足が接地したときにはすでに浮き足と入れ替わっている。そのためには、接地するまでの間、つまり身体が空中に浮いている間に足をベースポジションまで入れ替えておく必要があるんです。
父親 なるほど。
和田 これを『走り革命理論』では「空中スイッチ」と呼びます。
和田 地面スイッチのように、着き足を地面に着いたあとに足を入れ替えるというタイミングでは、浮き足が着き足を越え、着き足が地面から離れるまでに時間が必要です。
一方で空中スイッチは、着き足が地面に着いたときにはすでに足が入れ替わっている。だからすぐに着き足を地面から離すことができるので、0.1秒の接地が実現するんです。
この足を入れ替えるタイミングの違いこそが、ランニングとスプリントの本質的な違いなんです。
空中スイッチのテクニックは、のちほど行います。このSTEP2のゴールは、地面スイッチと空中スイッチの違いを理解することです。
父親 え。理解するだけでいいんですか? それなら理解はできています。先ほどのベースポジションといい、この空中スイッチといい、簡単すぎると言いますか……逆にこれくらいのことで本当に大丈夫なのでしょうか。
和田 はい。大丈夫です。STEP3に進みましょう。
スプリントテクニックの本質が、そんなごく一瞬の動きにあるなんて想像もしなかった。
しかし、今は地面スイッチと空中スイッチの違いを理解するだけでいいなんて、どういうことだろう。こっちは一刻も早く習得したいのに……。
気がつくと「習得できる」という前提で話を聞き始めている自分がいた。
そのことが、驚きでもあり、うれしくもあった。
STEP2で学んだこと
1、ランニングテクニックとスプリントテクニックの決定的な違いは、足を入れ替えるタイミングにある
2、「地面スイッチ」……ランニングテクニックでは着き足が地面に着いた状態で足を入れ替える
3、「空中スイッチ」……スプリントテクニックでは着き足が地面に着くまでの時間で足を入れ替えておく