(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続税は一部の富裕層にしか関係のないもの。自分に申告の必要はないでしょう」と思っていても、実は相続税が発生しているケースは意外と多いもの。本記事では「相続税の税務調査に選ばれやすい家庭」の特徴について、税理士法人ブライト相続・代表社員税理士の竹下祐史氏が、事例とともに解説していきます。

「自分には申告が必要ない」と思い込んでいても…

③無申告である

 

相続税申告をしていない、無申告の人も税務調査の対象になりやすいとされています。

 

相続税の申告が明らかに必要であるにもかかわらず申告をしていない人はもちろん、さまざまな控除や特例を適用した結果、相続税はゼロになるというケースの人も税務調査が入る可能性があります。

 

なぜなら、これらの控除や特例が正しく適用されておらず、実は相続税が発生している可能性や、そもそも相続財産に見落としがあって合算すると実は相続税が発生するなどという可能性が考えられるからです。申告書の提出が特例の適用要件となっていることもあります。

 

そのため、「自分には申告が必要ない」と思い込んでいる人でも税務調査が入る可能性はゼロではありませんので、注意してください。

 

④生前に多くのお金が動いていた

 

被相続人の生前に預貯金の出金や入金回数が多い場合も、税務調査の対象になりやすいです。

 

なぜなら、預貯金の出入りが多いと、生前に被相続人から他のご親族へ財産の移転をしていた可能性が疑われるからです。

 

もちろん生前贈与として贈与時に贈与税を正しく納めていれば、調査が入っても問題ありませんが、万が一申告漏れがあった場合は追徴課税などのペナルティが発生します。

追徴課税が課され…「相続税の税務調査」の事例

では、実際に税務調査が入った事例をご紹介します。

 

被相続人Aさんの妻は専業主婦をしていました。生前Aさんが毎月の生活費として渡していた〇万円のうち余った分のお金を貯金しており、日々の節約の努力も手伝って2,000万円貯めていました。

 

夫が亡くなり相続税申告をする際に、Aさんの妻はこの「妻の名義で貯金をしている2,000万円」は夫婦共同で使っていた生活費であり、「自分の節約の努力によって築き上げられたもの」であると考え、夫の財産として申告しませんでした。

 

しかし、後日税務署より「この2,000万円は名義預金にあたり夫の相続財産である」と指摘され、修正申告と追徴課税が課されました。

 

このように夫婦において夫の収入で生活を賄い、その余剰金を妻名義の預金として貯金している家庭は少なくないと思います。

 

Aさんの妻のように、生活上余ったお金は夫婦の共有財産のように考えてしまいがちですが、税務署は夫婦であるとしても、夫が稼いだ分か、もしくは配偶者が稼いだ分かと、財布を別々に考えるのが一般的で、そのため夫婦それぞれに納税義務が生じます。

 

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