(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

広東省広州市も感染抑制のため行動規制へ

中国本土市場は上海総合指数が前日比0.78%安の3,202.14と続落した。同指数は一時3,200ptを割り込むも、中国当局の政策支援の期待が下値を支えプラス圏に浮上する場面もみられた。

 

ただ、中国人民元安も相場の重荷となり、大引けにかけて下げ幅を広げた。足元の新型コロナウイルス感染抑制策の導入もネガティブに働いた。広東省広州市は31日、深圳市に続き行動規制が実施された。これで中国南部の2つの大都市に制限が課されることになり、経済への不透明感が強まった。

 

中国人民銀行は31日、人民元の対ドル基準値を2年ぶりの安値水準となる1ドル=6.8906元に設定した。

 

前日の基準値より0.15%元安の水準であり、6営業日連続で実勢より乖離した為替レートで元高に設定するも、急ピッチな元安が続き心理的な節目である1ドル=7.00元も視野に入る流れとなった。

 

人民銀は急ピッチでの元安進行を嫌っており、6.90元はいったん歯止めとなるのではないかとの見方もあるが、7.00元を上抜けると更なる動きも懸念され、中国当局の対応に注視したいところ。

中国が8月の製造業購買担当者指数(PMI)を発表

中国国家統計局が31日発表した8月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.4と市場予想(49.2)、前月(49.0)を上回るも前月に続いて節目の50割れとなった。

 

建設業とサービス業を対象とする8月の非製造業PMIは52.6、市場予想(52.3)を上回った。8月は中国各地で厳格な新型コロナウイルス対策が続いていることに加え、猛暑の影響で電力不足が深刻化したことも受け、中国の景気には回復の勢いがみられないことが要因となった。

 

ただ、8月下旬に入って猛暑と水不足が直撃した四川省を中心に電力不足が緩和されたほか、10月の中国共産党大会も控え、閉幕後には新型コロナウイルスの対策緩和や、経済対策の裁量拡大が期待できるとの見方も強い。

 

足元の懸念は何より、ゼロコロナ政策の影響で再び都市規制による経済打撃への警戒感だ。楽観視は厳しい局面が続く。

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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