大手IT企業にデータと権力が集中した2010年代
教育の未来を考える上で絶対に外せないのが、インターネットの将来であり、Web3です。
Web3を私なりに少し厳密に定義すると、「オンライン上で実行されるプログラムやサービスに、金融資産であるトークン(既存のブロックチェーン技術を利用して発行される暗号資産)を組み込んだ、パブリック型のブロックチェーンを基盤とするインターネットの概念」です。
暗号技術やブロックチェーン技術の成熟によって実現への準備が整い、次のインターネットの形として期待されています。
2000年代の大きな転換点は、90年代までウェブページが静的でユーザーが一方的に受信するものだったのが、リアルタイムに変化するようになり、双方向(ブログやSNSなどで受発信できる環境)になったことです。
魅力的になったウェブには一般からのアクセスが大量に流入し、2010年代には巨大IT企業に富やデータが集中し、絶対的な権力を持つようになりました。
GAFAMを頂点とする巨大IT企業は莫大な資本をもとにあらゆる産業に触手を伸ばし、「データによる支配」を実現しています。
一方、ほとんどの企業やサービスはGAFAMのインフラに依存しているため、まさに首根っこをつかまれた状態です。万が一インフラに障害が起これば事業がストップし、データが消失しようものなら再起不能となってしまいます。
個人は個人で、無料のSNSはメールアドレスさえ変えればアカウントを作り放題。いくらでも記事や写真を投稿できますが、何かの事故や規約違反でアカウントがBAN(強制閉鎖)されると、その人は存在しなかったも同然になってしまいます。ユーチューバーはその典型です。
このように、行きすぎたプラットフォーマー(プラットフォームの提供者)への権力集中はさまざまな歪みをもたらし、逆にインターネットを脆弱なものにしてしまいます。
データの中央集権支配をユーザーの手に戻すことで、より民主的なコミュニティを構築していこう、というのがWeb3の考え方です。
Web3では、ネット上で情報を「読む」(Web1.0)、「発信する」(Web2.0)に加え、「所有する」という概念が加わりました。