「個人情報を個人が管理する」という当たり前が可能に
プラットフォーマーが提供する従来のクラウドサービスを利用していても、ユーザーのデータは自身が所有権を持っています。しかし、ユーザーが公開しているデータであれば、プラットフォーマーがそのデータを宣伝やサービス改善のために自由に使える規約になっています。
また、自然災害などの不可抗力でデータが消失したとしても、プラットフォーマーは責任を問われないことが規約で明記されています。つまり、これまではユーザーにデータの実質的な所有権はなかった、と言っても過言ではないのです。
Web3では、データの所有権もアクセス権も、個人であるユーザーだけが管理します。このしくみを実現するための技術的な基盤が、ブロックチェーンです。
「21世紀の石油」と言われるくらいデータは貴重な資源ですが、石油と違って誰でもアクセス可能で、いくらでもコピーできてしまいます。だからこそ、実現するための技術と同時に、法律やガイドラインの整備も必要になってきます。
Web3のメリットは、データを個人で所有できることだけではありません。匿名性、つまりプライバシーを確保できるというセキュリティ面での大きなメリットがあります。また、サーバーが世界中に存在し、別個に管理されているので、いくつかのサーバーに障害が起きたとしても問題なく動くため、信頼性を高く保つことができます。
こうした特長は、データをオープンにし(オープンデータ化)、データを流通させるためにとても便利と言えます。個人がデータを所有し、外部に流通させることでどんな恩恵が受けられるのでしょうか。教育におけるわかりやすい例を考えてみます。
■学校情報(学校名、住所、電話番号、生徒数、進学実績、校務システム)
■授業情報(学習目標、科目数、科目名、学習指導要領、シラバス、授業時間)
■教材情報(教科書、参考書、問題集、副教材、プリント)
■生徒情報(氏名、生年月日、クラス、出欠、出席番号、担任、健康情報、家族)
■成績情報(通知表、テスト点数、レポート点数、授業態度)
■学習履歴(宿題提出、デジタル教材閲覧、ノートの記述内容、デジタルペンの軌跡)
たとえば、これらの情報により、第三者である学習コンサルタントが、生徒のテストの成績から苦手な単元やつまずき傾向などを分析し、効率的な復習方法や勉強方法を提案することが可能になります。これが医療データや生体データであれば、病気の早期発見が可能になるということです。
しかし、これだけではオープンデータの真の威力を実感できません。多様な教育データに加え、のちのちの生徒の様子の時系列の追跡データがあって初めて完璧になります。
そうしたデータ取得が実現した上で私が実現させたいのは、生徒の特性や興味関心をAIが分析し、将来に対して具体的な提案をしてくれる、「AI進路コンサルティングサービス」です。