ロボットやAIでは替えのきかない人材とは?
いまの日本に必要な人材は、目の前にある(もしくはまだ見えていない)問題の解決策を自分の頭で考え(または自分で問題を発見し)、解決のため行動に移すことのできる主体性を持った人材です。
言いかえれば、解決策が見当たらないときに諦めてしまうのではなく、知恵を絞って解決策を作り上げる創造力とやり抜く力(グリット)のある人材とも言えます。
大きな壁に直面したとき、誰かに責任を押しつけて被害者のフリをするのではなく、「当事者」として自分にできることを考え、周囲の力を借りながら、もっと言えば周囲を巻き込んででも失敗を恐れず状況を打開しようとする人材。先ほどの言葉を使えば、文字通り「規格外」の人材をどれだけ増やせるかに日本の将来はかかっていると言えます。
もちろん、バックオフィスなど、会社の堅実な運営には「規格内」の人材も必要です。
しかし「規格内」の人材はコンピュータやロボットなどで替えがきく一方、「規格外」の人材は基本的に替えがききません。
ここで、視点を世界に広げてみましょう。パリに本部を置き、経済と教育の関係性を不可分のものとするOECD(経済協力開発機構)が世界中の教育者たちと20年もかけて議論し、言語化した教育目標があります。それが「ラーニングフレームワーク2030」です。言ってみれば、「これからの時代に教育者たちが目指すべき世界共通のゴール」です。
このフレームワークによると、教育の最終目標は「社会全体のウェルビーイング(社会全体が良くあること=人々が心身ともに健康で幸福であること)」とあります。
この最終目標を否定する人はいないと思いますが、では、「社会全体のウェルビーイング」を実現するためにはどうすべきか。OECDは、個人に次の3つの資質を求めています。
■物事に主体的に関わる力
■クリエイティブな力
■対立を解消する力
これらの資質は、まさに世界の産業界全体で求められている能力と言えます。
欧米の教育者たちは、こうした資質を持った子どもたちを学校だけに任せず「社会全体で育てる」にはどうしたらいいかを真剣に議論し、現場に落とし込む教育改革を何十年にもわたって続けています。