約6年半前に大きく露呈した日本の待機児童問題
現在から約6年半前――。2016年6月に、検索サイト等のナレッジコミュニティサービスを提供する「株式会社はてな」運営のブログサービス「はてなブログ」の匿名ダイアリー機能に、とある1つの記事が投稿されました。
それは、「保育園落ちた日本死ね!!!」のタイトルで始まる、日本の児童福祉制度の欠陥に対する怒りを、語尾を荒げながら痛烈に批判した記事です。
子育てをしながら働くことを希望しても、定員数が足りずに保育園に入園することが叶わない、その悲痛な叫びは日本の待機児童問題を浮き彫りにし、瞬く間に日本中に広がりました。
本件に対して「(匿名であるため)本当か確かめようがない」と国会で発言した安倍晋三 元首相への抗議として、国会周辺でのデモ活動が巻き起こり、同年末に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」ではトップテンに選抜されるなど、誰もが議論に参加したくなる身近な時事問題として、人々の印象に大きく残りました。
あれから6年半――。日本の待機児童問題は解決したのでしょうか。
下記の、厚生労働省が発表している、2013(平成25)年から2021(令和3)年までの待機児童数の調査結果【図表1】をご覧ください。
調査期間の8年間のなかで「はてなブログ」に児童福祉体制への批判が投稿された2016(平成28)年の翌年の2017(平成29)年が、最も多い26,081人を記録しています。その次に多いのは、記事が投稿された2016(平成28)年で23,553人です。
2017(平成29)年をピークに右肩下がりに推移し、最新の公表データである2021(令和3)年には5,634人にまで減少しています。調査機関のピークから20,447人減少しており、減少率は78%。ここ4年で約8割減少していることが分かります。