日本人の給与、「平均」と「中央値」に大きな開き
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本人の平均月収(決まって支給する現金給与額)は33万4,800円で、手取りなら25万〜27万円程度。賞与を含めた推定年収は489万3,100万円であり、これが平均的な日本人の給与額となっている。
年齢による平均給与を見てみると、20代前半の平均月収は23万円強を皮切りに、50~54歳の40万円近辺がピークとなり、50代後半でやや下がり、60代になるとガクンと下がっていく。
【「日本人の平均月収/推定年収」の年齢別推移】
20~24歳:235,400円/3,200,900円
25~29歳:276,800円/3,969,700円
30~34歳:309,100円/4,487,600円
35~39歳:338,800円/4,975,800円
40~44歳:359,800円/5,323,700円
45~49歳:373,700円/5,552,900円
50~54歳:392,900円/5,887,100円
55~59歳:388,400円/5,807,500円
60~64歳:307,900円/4,356,100円
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出
※数値左:月収、数値右:推定年収
日本人の7割は「平均値」に届いていない
上記の数値を見て、肌感覚より「高い」と感じた人も多いのではないだろうか。その感じ方は正しい。挙げた数字は全体の平均値であり、「真ん中あたり」の数字とは異なっているからだ。
同調査による中央値の数字を見ると、ちょうど真ん中の所定内給与(残業代を除いたもの)は、26万9,100円で、手取りにする20万~22万円程度。そこから推定される年収は399万3,000円で、ギリギリ400万円に届いていない。
給与分布から推定年収を算出すると、年収300万円未満が37.3%、年収400万円未満が54.1%。平均を超えているのはわずか28.6%と、日本人の7割は平均に届いていないんのだ。
平均値を見て「意外と多い」と感じる給与も、分布から見れば、低収入の人がかなり多くを占めているという状況が見えてくる。
労使の代表らが参加する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)小委員会では、最低賃金の引き上げについて活発な論議が交わされている模様だ。不安定な世界情勢や円安に伴う物価上昇で、一般の人々の生活はかなり苦しくなっている。そのような状況下、賃金の引き上げは切実な願いだろう。
OECDの資料によれば、日本の最低賃金水準(フルタイム従業員の平均賃金:中央値を100とした場合の法定最低賃金の比率)は、調査国31ヵ国中27位となっている。国によって定義や法定最低賃金の制度等が異なることから単純な比較はできないが、日本の給与格差はかなり大きいと考えられる。
【世界主要国「最低賃金水準」上位10】
1位「コロンビア」92.31%
2位「チリ」72.31%
3位「コスタリカ」71.10%
4位「トルコ」68.98%
5位「ポルトガル」65.12%
6位「ニュージーランド」64.65%
7位「韓国」62.45%
8位「フランス」61.19%
9位「スロベニア」58.81%
10位「イギリス」57.60%
…
27位「日本」45.17%
出所:OECD(2020年)
格差是正のためにも、最低賃金、そして賃金全体の引き上げが必要だ。先行き不透明なこの先、さらなる物価高も懸念される。働く人たちの生活を守るためにも、ぜひ検討するべきではないか。
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