(※画像はイメージです/PIXTA)

筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏は著書『新訂版 発達障がいに困っている人びと』のなかで、発達障がいとどのように向き合うべきかを記しています。発達障がいは治療ができない難病ではありません。本記事では、その治療について、実例をもとに解説していきます。

発達障がいの子の「トレーニング」にもなる遊びは…

現代では娯楽が簡単に手に入りすぎるというのも、問題のように思われます。昔は、お手伝いをしたり、買い物をしたりして、何かのご褒美としていろいろな娯楽が与えられました。そこで、親御さんに駄々をこねたり、交渉したりすることで親子のコミュニケーションが生まれたものです。

 

しかし、今、お子さんたちは自分専用のゲーム機を持ち、何かしたご褒美でなくても勝手に自由に娯楽が楽しめる環境に置かれています。社会が豊かになりすぎた分、親子の距離ができてしまったのです。

 

そのようなお子さんたちとのコミュニケーションを取り戻すためにも、お手玉、あやとり、折り紙など昔ながらの手を使った日本の伝統的な遊びの大切さを、もう一度親御さんが教えてあげることが大切だと考えています。昔ながらの遊びは、自然と指先の器用さが身についたり、脳が鍛えられたり、自然と感覚統合的な訓練になっています。

 

発達障がいを抱えたお子さんには格好のトレーニングにもなるのです。

 

全くゲームをさせないというのは、難しいところもあるのかもしれません。ですから、タイマーなどを利用して時間を決めて遊ばせることが重要です。

 

ピアノやスイミングなどの習い事に通わせることも、ゲーム機から離す一つの手段です。そして、習い事をさせることにより、親御さんや担任以外の大人と触れ合い、コミュニケーションできる機会が増えるのです。

 

まだ、しっかりとした統計はありませんが、そういうお子さんの方が将来就職率が高いように思われます。お子さんのために生活環境を整えることは、発達障がいに拘わらず子育ての基本です。

 

【第39回】どうして…母親が「ADHDの我が子を叩いた」悲しすぎる理由で紹介したH君一家のように引っ越すというのは、なかなか大変なことかもしれませんが、ゲームの時間を減らして、昔ながらのトランプやボードゲームのような、コミュニケーションのある遊びを取り入れることはできるはずです。

 

できることからコツコツと行っていくことが、お子さんの将来を明るく照らすことにつながります。

 

 

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鈴木 直光

筑波こどものこころクリニック院長・小児科医
小児神経学会認定医博士(医学)

 

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新訂版 発達障がいに困っている人びと

新訂版 発達障がいに困っている人びと

鈴木 直光

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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