苦手な空間図形の応用には時間を割かない作戦
数学
数学は、計算問題、方程式、関数、図形(平面・空間)、確率などの単元から、各学校の出題の傾向がはっきりしています。よって、志望校に合わせた対策がとりやすい教科です。
息子の場合、数学で補強したかった領域は、平面図形、作図、関数でした。これらの問題でしっかり点数をとる作戦を立て勉強を進めました。反対に時間は限られているため、苦手な空間図形にはあまり時間を割かない作戦にしました。
使用した参考書例:
●『シグマベスト 最高水準問題集 数学 中3』(文英堂)
●『塾技100 数学』(文英堂)
●『数学 図形と関数・グラフの融合問題完全攻略272選』(東京学参)
●『高校入試の最重要問題 数学』(学研)
●『国立高校・難関私立高校入試対策 上級問題集 数学』(旺文社)
●『中学数学 図形の証明がらくらく解ける。』(学研)
●『数学 作図の問題』(くもん出版)
こうして並べてみるとわかりますが、標準からハイレベルまで、さらに図形や作図といったポイント対策の参考書があります。これらを使い、量を重視して標準から応用まで、数多くの問題をどんどん解いていく作戦でした。通塾せずに定期テストの勉強だけで中3まできたので、入試的な実践問題は経験不足だったと思います。そのため、数をこなす意識で問題に挑戦していく必要があると考えました。
数学はまず、問題をたくさん解いていきました。定期テスト対策だけをやってきた息子が今まで解いた問題数は、塾に通うライバルたちに比べると圧倒的に少ないだろうと考えたからです。
例えば、計算問題は速く正確に解けるよう、とにかく問題数をこなしていく。方程式や図形、関数についても、頻出問題は全て解いてみる。間違えたら、自力で解けるまで繰り返し演習する。
このやり方で、標準問題は解けるようになりました。良問をどんどん解いて問題に対する経験値を上げていくと、標準レベルだけでなく応用問題についても徐々に正答が増えてきました。
数学は単元ごとに理解すればよいというわけではありません。中1・中2の内容・知識をもとにして解く、いわゆる積み上げのつながっている教科です。以前の学習内容を理解できていないと、その次もわからない。そのためにつまずいてしまい、数学は苦手と感じている子もいるでしょう。数学ができるようになるためには、積み上げと反復が大切なのです。
息子を見ていて、数学は反復の教科だと実感しました。できなかった問題を繰り返しやることで力がつき、応用力も養われていきます(すでにできる問題は、時間がもったいないので反復する必要はありません)。
ただし、応用問題や難問は、途中、行き詰まってしまいました。そこで、息子は数学の先生に勉強の仕方を尋ねました。すると、「時間はかかってもいいから、解答を見ずに最後まで自力で解き切るようにしてみては」と、アドバイスをもらいました。そこからは、数をこなしていく作戦から、じっくり自分の頭で考えて問題を解き切る練習を意識しながら勉強を進めました。
ここでポイントがひとつ。息子は、苦手な空間図形の発展問題はほとんどやっていません。
どの領域で得点したいのか、必要な部分をしっかり勉強するためには、捨てる問題の見極めも大切になります。参考書などには時々難問が出てきますが、自分が強化したい領域でない場合は、やらない勇気も必要です。特に平均点を目指したい場合などは、すべてをやるのではなく問題を見極めて取り組みましょう。
数学の参考書は、解答部分が分厚く、解答・解説にページを多く使っているものがおすすめです。ただし、解答を見ても独学で理解できない問題は、必ず数学の先生に質問して教えてもらいました。こうして良問を多く解き、考え方・解き方の引き出しをたくさん持てるように勉強を続けました。
何より受験勉強を通して解く楽しさを知ったようで、以前より息子は数学を好きになりました。「学びたい」という知的好奇心が育ったことをとてもうれしく思っています。これは、受験勉強を通して、本人が、本来そうあるべき主体的・知的欲求から学ぶ力をつけられたということに他なりません。これは、絶対的に成長できた証しです。
塚松美穂
ライター・教育アドバイザー
学習支援コーディネーター