(写真はイメージです/PIXTA)

ドル円は、7月半ばに一時1ドル140円の節目に肉薄した後ににわかに反転し、今月月初にかけて一時130円台まで10円近くも急落しました。今後、どうなるのか? ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏の分析です。

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    金融市場(7月)の振り返りと予測表

    10年国債利回り

    7月の動き(↘) 月初0.2%台前半でスタートし、月末は0.1%台後半に。

     

    月初、欧米の利上げ積極化観測と景気減速懸念が交錯する形で0.2%台半ばでの膠着した推移に。その後は中国でのコロナ感染拡大や欧州のエネルギー不足懸念などから世界経済の減速懸念がやや強まり、13日に0.2%台前半へとやや低下。しばらく一進一退の展開となった後、ECBの大幅利上げに伴う域内景気懸念、欧米PMIの悪化を受けてさらに景気減速懸念が高まり、25日には0.2%付近へ低下。

     

    さらに、月末にかけてはパウエルFRB議長による利上げペース縮小の可能性への言及、2期連続のマイナスとなった米GDPを受けた米金利低下が波及し、0.1%台後半に低下した。

     

    【図表14/15/16/17】日米長期金利の推移(直近1年間)/日本国債イールドカーブの変化/日経平均株価の推移(直近1年間)/主要国株価の騰落率(7月)

     

    ドル円レート

    7月の動き(↘) 月初136円近辺でスタートし、月末は133円近辺に。

     

    月初、米国の利上げ積極化観測と景気減速懸念が交錯し、135円~136円での方向感の無い展開に。その後は堅調な米雇用統計結果やユーロ安ドル高の波及を受けてじり高となり、12日には137円台に。さらに米CPIの予想を上回る結果を受けて米利上げ加速観測が高まり、14日には一時139円台前半に達した。

     

    その後はFRB高官発言や米家計の期待インフレ率低下を受けて利上げ観測がやや後退し、ドルがじり安に。米経済指標の相次ぐ悪化を受けて、25日には136円台半ばに戻る。27日のFOMCでは通常の3倍に当たる0.75%の利上げが決まったが、パウエル議長が利上げペースの減速に言及したことでドルが下落。さらに翌日発表の米GDPが2期連続のマイナスになったことで米景気減速懸念が高まり、月末は133円近辺にまで低下した。

     

    【図表18/19】ドル円レートの推移(直近1年間)/ユーロドルレートの推移(直近1年間)

     

    ユーロドルレート

    7月の動き(↘) 月初1.04ドル台前半でスタートし、月末は1.02ドル近辺に。

     

    月初、ロシアから欧州へのガス供給減少懸念からユーロ売り地合いとなり、6日には1.01ドル台後半に。その後もロシア-欧州間のパイプライン停止を巡り、ユーロ安基調が続き、米CPI上振れを受けた13日には一時1ユーロ1ドル(パリティ)の節目を割り込んだ。

     

    月半ばには、米利上げ観測の後退やECB利上げ加速観測などからユーロがやや持ち直し、19日には1.02ドル台半ばを回復。その後も欧州のガス不足に対する懸念が燻ったほか、ECBの大幅利上げ決定に伴う欧州景気減速懸念もユーロの重荷になった。しかし、米経済指標悪化やFOMC結果を受けたドル安圧力が支えとなり、ユーロドルは横ばい圏で推移。月末も1.02ドル近辺で着地した。

     

    【図表20】為替・金利予定表(8月5日現在)

     

     

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    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年8月5日に公開したレポートを転載したものです。

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