(写真はイメージです/PIXTA)

利用規約違反をしたユーザーに対し、企業側は制裁をすることができますが、そのためには規約の内容を作り込でおくことが重要であると、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士はいいます。本記事では、違反行為から、ユーザーと訴訟にまで進展した事例をもとに詳しく解説します。

実際に起きた裁判事例

ユーザーの利用規約違反に関する実際に事例として、次のものが存在します。

 

事例1:ゲームアカウント停止措置

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するゲームサイト「モバゲー」の利用者が、課金したばかりでサイト内に2万円が残っている状態で、突然利用停止となった事例です。※1

 

※1 日本経済新聞:モバゲー規約、二審も「不当」 利用停止の賠償応じず

 

モバゲーの利用規約では、「他の会員に不当に迷惑をかけた」「会員として不適格」とDeNAが判断した場合、利用停止や会員資格の取り消しができると規定されていました。 また、「当社の判断で会員資格を取り消しても損害賠償には応じない」旨の記載がありました。

 

この免責条項が不当条項ではないかと、適格消費者団体が提訴しました。これに対して、第一審のさいたま地方裁判所および控訴審の東京高等裁判所は不当な免責条項に当たるとの判断を示したものです。

 

事例2:キャラクターを削除されたユーザーによる損害賠償請求

ゲーム運営会社側からネーミングが不適切であるとされ、一方的にキャラクターを削除されたユーザーによる損害賠償請求の事例があります。

 

この事例では、ユーザーがつけたキャラクターのネーミングが、利用規約に定める禁止事項に該当しており、制裁としてキャラクター自体を削除したことについて、債務不履行又は不法行為は成立しないと判断され、ユーザーによる損害賠償請求は認められませんでした。

 

ユーザーへの禁止事項と、それに対する制裁措置を利用規約で適切に定めておくことがいかに重要であるのかが、非常によくわかる事例です。

利用規約の修正手順

ここまで解説してきたように、利用規約に違反したユーザーへ制裁を課すためには、さまざまな注意点が存在します。

 

仮に、現状の利用規約が不十分であると感じた場合には、早期に利用規約を修正する必要があるでしょう。利用規約の変更についてお困りの際には、弁護士へ相談することをおすすめします。

 

まとめ

利用規約に違反したユーザーに適切な制裁を加えるためには、あらかじめ利用規約を作り込んでおくことが不可欠です。利用規約の内容が不十分であれば、たとえ問題行動を取るユーザーがいたとしても、迅速に適正な対処をすることが困難となってしまうでしょう。

 

利用規約は、ユーザーとの契約内容となる非常に重要なものです。いざというときに自社を守るため、利用規約を作成する際には、法律のプロである弁護士に相談することをおすすめします。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士
 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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