(※画像はイメージです/PIXTA)

在宅勤務やリモートワークが当たり前になり、これまでなら気軽に「手伝って!」「ここってどうしたらいい?」と言えたのに、きっかけがつかめず1人で仕事を抱え込んでしまうようになった、という人もいるのではないでしょうか。産業医の井上智介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

SOSを出すことで助け合いの関係を築ける

■「小さな質問」でSOS を出す練習をしよう

 

これまでずっと1人で解決しようと頑張ってきた方にとって、急に「周囲を頼りましょう」と言われても「そんなの無理!」と思うかもしれませんが、SOSと言っても深刻な悩みを打ち明ける必要はありません。

 

ステップを踏んで、少しずつSOSを出す練習をしてみましょう。

 

まずは、「SOSを出して助けてもらえた」という小さな成功体験を積むことが大事なのです。

 

最初のステップは、SOSの合図を受け取ってくれそうな人を探すことから始めましょう。

 

100%の自信を持って、この人なら悩みを聞いてくれる! と確信できる人を探すのは難しいでしょうから、仲のいい同僚や後輩、家族や友達でもいいので、話しやすい人に小さなSOSを出してみましょう。

 

SOSの内容は、「ワード文書をPDFに変換するのって、どうするんだったっけ?」など、相手にも負担がなくさらっと解決しそうなことがいいですね。小さなSOSであれば、さほど相手の負担になることはありません。

 

むしろ、誰かの役に立てるのは、多くの人にとってうれしいことです。

 

ファーストステップでは、頼って、教えてもらえて、「頼んでいいんだ」「質問していいんだ」という感覚を持つことが大事です。

 

普段から「この人はこの分野に詳しい」と、周囲の人の得意分野を把握しておけば、適任者に聞けるので解決しやすいでしょう。

 

思いつきで頼んでしまうと、小さなことでも相手が分からない場合があります。

 

パッと解決すると思ったのに、予想以上に相手の時間を奪ってしまうと、迷惑をかけてしまった……と感じて自己肯定感がさらに下がってしまうので、相談相手選びは重要です。

 

他人の様子に気を配り、気持ちを汲み取ることができるあなたなら、このような人間観察もきっとできるはず。

 

もしかすると、すでにやっている人もいるかもしれません。

 

一度できたら、次のステップはとにかく成功体験を増やすこと。

 

少しずついろんな人にSOSを出していくことで、自然と助け合いの関係を築いていくことができます。

 

井上 智介
産業医
精神科医
健診医

 

 

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※本連載は井上基介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

井上 智介

日本能率協会マネジメントセンター

「仕事の悩みは人間関係が8割」だといいます。 職場ではさまざまな人と関わる必要があり、仕事の関係上、自分が人間関係を選ぶことも難しい。自分に都合の悪いことは無視する上司、融通がきかない部下、承認欲求が強く、自己…

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