※画像はイメージです/PIXTA

林業を営んでいない家族の相続財産に山林があった場合、「山林の相続をしたけどいらないから、放置しちゃおうかな……」と考える人がいますが、相続した山林を放置すると、デメリットがいろいろあるので、止めておいたほうが賢明です。山林の相続手続きのほか、山林の相続税評価額や固定資産税について解説していきます。

山林相続後は届出を!相続放棄はデメリットあり

「山林を相続したくない!負担ばかりで使い道に困る…」

 

気持ちはよく分かりますが、山林を相続しても絶対に放置しないでください。相続した山林を放置すれば、将来的に様々なデメリットが待ち受けています。

 

山林の相続手続きをせずに放置すれば、売却処分ができなくなってしまいます。これは相続した山林を売却処分する時、相続登記や市区町村への届出の証明が必要となるためです。

 

さらに山林の相続手続き(名義変更)をせずに放置しても、固定資産税や管理義務は発生し続けます。

 

もっと先の話をすれば、将来的にはその山林を更にあなたの配偶者や子供が相続することになるため、未納の固定資産税を将来的に請求される可能性も出てきます。

 

山林を相続して放置する事は、問題を大きくするだけなので絶対にやめておきましょう。

 

山林の相続放棄はデメリットあり!すべてを手放すことになる

「相続した山林を放置できないならいらない! 相続放棄をする!」と思われたでしょうか?

 

確かに相続放棄をすれば、山林を相続することはありません。ただし、相続放棄というのは「相続財産すべてを放棄する」ことなので、継承するはずだったその他の不動産や預金などの財産もすべて放棄することになります。

 

さらに相続放棄をするには相続を知ってから3ヵ月以内に、家庭裁判所で相続放棄の手続きをする必要もあります。相続財産がいらない山林だけであれば相続放棄をしても良いですが、他に継承財産がある場合はデメリットでしかありません。

山林の相続に必要な2つの手続き

山林の相続をしたら、必ずやるべき手続きが2つあります。この2つの手続きさえしておけば、相続した山林で将来的に発生する問題やデメリットを回避できます。

 

山林の名義変更(相続登記)

山林の相続をしたら、法務局で名義変更のための相続登記手続きが必要です。これは山林だけではなく不動産を相続したら必ずすべき手続きです。

 

必要書類はいくつかありますが、どのようにして遺産分割をしたのかで準備すべき書類が変わってきます。

 

市区町村への届出

山林の相続特有の手続きとなるのが、市区町村への届出です。これは林野庁の「森林の土地の所有者届出制度」で定められており、平成24年4月以降に森林の土地の所有者になった人が対象です。

 

届出期間は「土地の所有者になってから90日以内」となるので、山林の名義変更(相続登記)が終わればすぐに行いましょう。仮に届出が遅れれば、罰則の対象となるので注意をしてください。

 

届出の必要書類

・森林の土地の所有者届出書

・登記事項証明書

・土地の位置を示す図面

・相続による権利取得が分かる書類の写し

 

相続する山林の計測が必要なケースもある

相続した山林の正確な面積が分からない場合、一連の相続手続きをする前に「山林の測量」をする必要があります。「相続した山林の状況を把握していないケース」を紹介しておくので、当てはまっていないか確認しましょう。

 

山林の状況を把握できないケース

・先代が山林の測量をしていない

・登記情報と実際の面積が異なる

・隣の山林の所有者との境界が分からない

・山林の場所が分からない

 

相続する山林の計測には約3ヵ月要する上、もちろん費用もかかります。山林の状況を把握していない場合は、早めに山林の測量を行って正確な土地面積を把握しておきましょう。

次ページ山林の相続税評価の計算方法

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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