※画像はイメージです/PIXTA

林業を営んでいない家族の相続財産に山林があった場合、「山林の相続をしたけどいらないから、放置しちゃおうかな……」と考える人がいますが、相続した山林を放置すると、デメリットがいろいろあるので、止めておいたほうが賢明です。山林の相続手続きのほか、山林の相続税評価額や固定資産税について解説していきます。

山林の相続税評価の計算方法

山林の相続税評価の方法は、山林の区分によって計算方法が異なります。山林の区分とそれぞれの計算方法は以下のとおりです。

 

■純山林【純】

市街地から離れた場所にある山林

固定資産税評価額×倍率

 

■市街地山林【批準】

市街地にある山林

(宅地とみなした場合の評価額-宅地造成費用)×地積

 

■中間山林【中】

純山林と市街地山林の中間の山林

固定資産税評価額×倍率

 

相続した山林がどの区分になるのかは、国税庁「路線価図・評価倍率表」 の倍数表から確認できます。

 

山林の相続税評価の元となる倍率表で「区分」を知るには

相続した山林の区分を見分ける方法を、実際の評価倍率表を使ってシミュレーションしてみましょう。たとえば相続した山林が、東京国税局管轄の「東京都東村山市にある」と仮定しましょう。

 

倍率表(東村山市)
倍率表(東村山市)

 

東京都東村山市の山林の倍率表を見ると「比準」と記載があるため、区分は市街地山林ですね。相続税評価額の計算式は少し複雑ですが、「(宅地とみなした場合の1㎡あたりの評価額-1㎡あたりの宅地造成費用)×地積」となります。

 

次にあなたが相続した山林が、東京国税局管轄の「山梨県南アルプス市秋山にある」と仮定しましょう。

 

倍率表(南アルプス市)
倍率表(南アルプス市)

 

南アルプス市秋山の森林の倍率表を見ると「純 2.8」の記載があるため、山林区分は純山林となります。相続税評価額の計算式はシンプルに、「固定資産税評価額×2.8」となります。

 

山林は「立木」も相続税評価の対象になる

山林を相続した場合、土地の評価だけではなく「敷地内に生えている立木」も相続税評価の対象となります。この立木は税法上「果樹・立木」と「立竹木」に分類され、それぞれ評価方法も異なります。

 

さらに言うと立木の種類・樹齢によっても計算方法が異なり、素人で相続税評価をするのは至難の業です。

山林相続後は森林組合へ加入!固定資産税はいくら?

山林の相続手続きが完了したら、該当山林を管轄する「森林組合」への加入をおすすめします。というのも、「山林の相続手続きをすれば任務完了!」ではなく、あなたが山林を手放すまで管理責任を負うことになるためです。

 

森林組合とは地元の森林所有者の共同組合で、施業委託・補助金・融資・維持管理など、様々な業務を担っています。

 

森林組合へ加入するメリット

・土地活用方法を相談できる

・山林売却の相談ができる

・山林管理や維持の相談ができる

・定期的な境界管理ができる

 

山林に生えている樹木は、手入れをして樹齢が育てば資産になり得ます。「どうせ価値がないから……」と手続きだけで終われば、相続した山林の活用方法を見つけることはできません。

 

相続した山林は固定資産税が発生するけど…

山林を相続した後は、一般的な不動産と同じく固定資産税が発生します。

 

ただ、活用ができなくて売却もできない山林の場合、固定資産税の心配をする必要はありません。というのも、山林の固定資産税の計算方法は「課税評価額×1.4%」ですが、活用できない山林の課税評価額は低いです。

 

相続した山林の固定資産税評価額が30万円以下であれば、固定資産税が課税されることはありません。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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