夫が死んでしまう…病院が認知症夫をたらい回しで高齢妻の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

認知症高齢者を得意とするホームは、問題行動に対する知見が高く、問題行動をさまざまな経験値でねじ伏せていくことができるホームです。では医療的な処置やリハビリが得意かというとそうではないといいます。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で解説します。

【オンライン開催(LIVE配信)】7/9(土)開催
投資家必見!銀行預金、国債に代わる新しい資産運用
ジャルコのソーシャルレンディングが「安心・安全」な理由

認知症の親の排泄障害が入居のきっかけ

■転ホームの勧め

 

私が考える転ホームの一例を記しておきます。多くのケースでは、子世代が親を老人ホームに入れる決断をするタイミングは、認知症による問題行動が動機になっているはずです。細かい話をすれば、親の排泄障害も老人ホームへの入居を考えるスイッチの一つです。

 

しかし、逆に言うと、これ以外の理由で親の在宅生活に致命的に失望することは、それほど強くはないはずです。

 

したがって、認知症対応が得意なホームを探すということになるはずです。だからというわけではありませんが、多くの老人ホームは「認知症なら当ホームへ」という謳い文句がパンフレットに踊っています。

 

したがって、それほど困らずに老人ホームを見つけ出すことができるはずです。そして、認知症で問題行動がある親が老人ホームに入居さえしてしまえば、家族にとって、また、平穏な日常が戻ってくるのです。

 

ちなみに、多くの認知症高齢者の場合、短ければ数カ月以内、長くても数年内には、問題行動は消失していきます。理由は、ADLが徐々に低下していくからです。ADL(Activities of Dairy Living)とは、日常生活動作と訳されますが、簡単に言えば、日常生活を送るために必要な機能のことを言います。

 

排泄や入浴、食事、着替えなどが代表的な日常動作に当たります。それまで、元気にホームの廊下を徘徊していた認知症入居者が、やがて、足腰が弱くなり、車いすでの生活が始まります。さらに、ADLが落ちていくと、ベッド上で過ごす時間が長くなります。多くの高齢者は、このプロセスを踏んで、徐々に寝たきり状態になっていくのです。

 

ここで考えなければならないことが「転ホーム」の必要性です。つまり、認知症対応が得意なホームが、ほかの介護支援も得意だということではありません。たとえば、医療的な対応が苦手なホームなどたくさんあります。リハビリについてまったく知識のない老人ホームもたくさんあります。このことを理解することができるでしょうか?

 

認知症は病気です。だったら「医療対応でしょう」と言う人がいると思いますが、たしかに、認知症を根治させる行為は医療行為ですが、多くの老人ホームは認知症を根治させることに取り組んではいません。取り組んでいるのは、認知症の高齢者を「預かる」という行為だけです。

 

この「預かる」という行為に対し、ほかのホームとの差別化を図るために、認知症対応と称して手を替え、品を替え、さまざまなメニューを用意しているのです。

 

こんな話があります。認知症になると、食べたことを忘れ、何度も食べてしまう過食が有名ですが、逆に、食べるという行為を忘れてしまうこともあります。平たく言うと、食べ物、水分を一切口にしなくなるという行動です。当然、放置すれば、死んでしまいます。

 

多くのケースでは、病院に行き、点滴などで栄養や水分を補いながら、なんとか食事をしてもらう方法を考えます。このような場合、どのような医療機関を受診するとよいのでしょうか? 認知症は、精神科の領域です。

 

しかし、食べる、食べないは、内科の領域です。さらに食べるという機能に着目すれば、歯科という領域も考えられます。

 

【オンライン開催(LIVE配信)】8/17(水)19:00~開催決定
勤務医ドットコムが医師の節税・資産形成のご提案
最新「IoT投資用不動産」で利回り7%以上!

【医師限定】緊急オンラインセミナー 詳しくコチラ>>>

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載失敗しない「老人ホーム選び」の鉄則

※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

間違いだらけの老人ホーム選び

間違いだらけの老人ホーム選び

小嶋 勝利

プレジデント社

親の資産が潤沢にあれば、希望する老人ホームに入ってもらって楽になれます。しかし現実は厳しく、親の年金額内で賄える老人ホームを探すしかありません。 「介護の沙汰も金次第」。けれども、たやすく金を貯めることも、手に…

親を大切に考える子世代のための老人ホームのお金と探し方

親を大切に考える子世代のための老人ホームのお金と探し方

小嶋 勝利

日経BP

老人ホームを探す子世代に向けて、老人ホームの特徴をタイプ別に解説し、親に合うホームの探し方を紹介。老人ホームの入居にかかる予算設定の仕方や老後資金の管理といったお金の話、ホーム生活の内幕も収録する。 お金で困ら…

親を老人ホームに入れようと思った時に読む本

親を老人ホームに入れようと思った時に読む本

小嶋 勝利

海竜社

老人ホーム探しの「主役」は、一体誰なのでしょうか?もちろん「入居者」である、と答える方がほとんどではないでしょうか。しかし、多くの場合、とくに要介護高齢者用の老人ホームの場合、主として探しているのは「家族」です…

誰も書かなかった老人ホーム

誰も書かなかった老人ホーム

小嶋 勝利

祥伝社新書

老人ホームに入ったほうがいいのか? 入るとすればどのホームがいいのか? そもそも老人ホームは種類が多すぎてどういう区別なのかわからない。お金をかければかけただけのことはあるのか? 老人ホームに合う人と合わない人が…

老人ホーム リアルな暮らし

老人ホーム リアルな暮らし

小嶋 勝利

祥伝社新書

今や、老人ホームは金持ちが入る特別な存在でななく、誰もが入居する可能性の高い、社会資本です。どうやって老人ホームを選んだらいいのか?それには入居者の生の声を聞くのが一番と、国内最大の老人ホーム紹介センターを経営…

もはや老人はいらない!

もはや老人はいらない!

小嶋 勝利

ビジネス社

コロナより怖い、老人抹殺社会の現実がここに。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が明かす、驚愕の事実! 日本は世界に先駆けて超高齢化社会と言われています。老人の数は加速度的に増え、このままでいくと日本は老…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ