(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、中小企業の事業承継、事業存続のためのM&Aが注目されていますが、本来のM&Aは事業の発展・成長と会社の規模拡大という売り手・買い手双方の目的をかなえる、格好の手段といえるでしょう。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

買い手の狙いは「売上・市場シェアの拡大」

■M&Aの目的は事業承継に関連する割合が高い

 

『中小企業白書』(2021年)をもとに、M&Aを検討する背景を探ってみました。そこでわかったのは、売り手の場合は「従業員の雇用の維持」「後継者不在」といった、事業承継に関連した目的の割合が高いことです。加えて、「事業の成長・発展」の割合も高く、多くの経営者は事業存続のためM&Aを検討しています。

 

一方、買い手側の目的はどうでしょうか。同じく『中小企業白書』を確かめたところ、「売上・市場シェアの拡大」(73.7%)が突出して高く、次いで「新事業展開・異業種への参入」(49.1%)と、他社の経営資源を使った事業規模の拡大や多角化という内容が目立ちました。

 

他にも「人材の獲得」(40.3%)、「技術・ノウハウの獲得」(33.1%)など、いずれにしても自社の経営にプラスになる目的が上位を占めています。こういった両者の考えが合致することにより、M&Aは実施されるということです。

 

なお、M&Aの効果については、東京商工リサーチの「企業ファイル」をもとに、2015年に買い手としてM&Aを実施した企業とそうでない企業のパフォーマンスの差を分析したところ、2017年から19年にかけてM&A実施企業のほうに売上高成長率が高い傾向があるとわかっています。

 

そう考えると、M&Aは事業の発展・成長と会社の規模拡大という売り手・買い手双方の目的をかなえる、格好の手段といえるでしょう。

 

瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。
瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。

 

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※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業向け 会社を守る事業承継

中小企業向け 会社を守る事業承継

瀧田 雄介

アルク

後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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