中国、入国者の隔離期間短縮へ
中国国家衛生健康委員会は28日、新型コロナウイルスの流行に伴い海外からの入国者に義務付けている隔離期間を短縮すると発表した。
濃厚接触者や中国本土の外から渡航してきた人の隔離期間は、これまで「14日間の集中隔離期間」+「7日間の自宅隔離期間」と規定されていた。今回の改訂により「集中隔離期間を7日間」、「自宅隔離期間を3日間」に変更した。
今回の要件の短縮は足元、減少傾向が続く新規感染者と経済の正常化に向けた政策変更であり、各地方の防疫機関に実施を指示した模様である。
28日に報告された27日の新型コロナウイルスの新規感染者数は、北京と上海で市中の感染者がゼロと、2月下旬以来始めて感染者が確認されなかった。上海では店内飲食を段階的に容認し、北京でもユニバーサル北京リゾートなど一部の娯楽施設の営業が再開、上海ディズニーランドも6月30日より営業再開を発表した。相次ぐ経済活動の正常化に向けた動きに株価への反発期待は盛り上がっている。
逆行して下げたのは、インターネットサービス大手のテンセント(0700)だった。オランダの投資会社プロサスと南アフリカのメディア大手ナスパーズは自社株買いの資金を調達するために、テンセント株を段階的に売却する方針を示したが、これが連日の悪材料とされている。
ナスパースはプロサスを通じてテンセント株を約27億6900万株、28.78%を保有している大株主で、同社が3年間のロックアップに反して売却を表明したことが売り材料となっている。同社株は市場を大きくアンダーパフォームし前日比▲3.2%で引けた。
ナスバース社が継続してテンセント株の売却を続けるかどうかは不明である。テンセントの一日あたりの平均取引量は約2,685万株であることから、売却株数を約134万株(5%相当)として試算すると、すべて売却し終わるには約2,064日かかることになる。
従って、全株を市場で売却することは現実的ではない。断続的な売却に耐えられず株価が下げる懸念は残るが、一連の株売却の規模が限定的なものにとどまり、インパクトはさほど大きくないとの見方が妥当ではないだろうか。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>