(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 21,996.89 pt (▲1.88%)


中国本土株指数 7,694.64 pt (▲2.52%)


レッドチップ指数 3,893.79 pt (▲0.96%)

売買代金1,608億3百万HK$(前日1,759億3百万HK$)

米国株主要3指数の大幅下落を受け、香港市場も反落

前日発表された6月の米消費者信頼感指数(98.7)は2021年2月以来の低い水準となり、前月から大きく悪化した。景気後退懸念からの売りが強まり、米国株主要3指数は大幅に下落した。これを受けて、29日の香港市場も反落した。ハンセン指数は5日ぶりに下げて前日比1.88%安で引けた。サポートラインとして期待された22,000ポイントを割りこんで下げた。ハイテク株の比重が高いハンセンテック指数は前営業日比3.27%下落し、他指数をアンダーパフォームした。同指数は前日までの4営業日で11.6%上昇し、3月頭の水準まで回復していた。

 

ここ数日買われた自動車関連株も急落した。電気自動車のNIO(9866)は前日比11%安、理想汽車(2015)は同9%安、小鵬汽車(9868)は同7%安、BYD(1211)は同5%安だった。主力銘柄も下落、香港証券取引所(0388)、Eコマースの京東集団(9618)、スマートフォンの小米(1810)、アリババ(9988)はそろって同3%安、美団(3690)は同2%安と下げた。ここ数日急ピッチに上昇したことも受けて市場全体、売りに押された。

 

個別株では、EVメーカーのNIOについては一時13%安まで売りこまれた。空売りファンドのGrizzlyが28日に発表したレポートによると、NIOは不正な会計処理によって売上高の水増しなど行った疑惑があると指摘され、悪材料視された。同社はすぐさま公式ページでGrizzlyが主張した不正会計疑惑について否定し、今後も透明かつ適切な情報開示へ努めるよう述べた。

 

連日注目を集めるテンセント(0700)は下げ渋った。同社は28日、2ヵ月ぶりに自己株買い付けを実施、今年で26回目の買い戻しとなった。取引株数は83万株(約60億円程度)で1日の取引株数の1.4%程度。ここ数日、大株主が自社株買いの資金を調達するため、テンセント株を段階的に売却する方針を示したことが悪材料として働き、同社株は大幅下落が続いていた。同社によると、長期的に売却姿勢を示す場合、1日当たり平均取引量は5%相当(約134万株)を超えない水準にとどまる見込みで、影響は限定的との見方を示した。更に、同社は自社株買いを通じて影響を緩和する可能性もあると表明した。同社は前日比0.2%安で引けた。
 

テンセントの自己株買付け
テンセントの自己株買付け

 

中国本土株も、5日ぶりに反落し上海総合指数は前営業日比1.40%安の3,361.52、CSI300も同1.54%高の4,421.36で引けた。両指数は足元、終値ベースで約3カ月半ぶりの高値を更新していた。

コロナ戦略の堅持表明 

武漢を訪問中の習近平国家主席は29日、「ゼロコロナ政策」について、本戦略は中国にとって「最も適切かつ効果的」な防疫策であり、堅持する必要があるとの認識を示した。また高齢者や子供を含め国民の命や健康を守ることが重要で、それらを脅かすくらいなら、経済に一時的な影響が及ぶことを容認するべきだと語った。

 

先週のBRICKs会議で、国家経済成長目標(年5.5%成長)の達成にコミットすると発言した習近平国家主席だが、本日は一転して厳しいコロナ制限を擁護する発言と受け止められる内容だった。過去数ヵ月のロックダウンによる影響で、今年の中国の経済成長率は非常に厳しい状態にあり、今秋の党大会を控えて、異例の3期目続投を認められるためには、結果を求められる。昨日、国家衛生健康委員会は、入国時の隔離期間を10日間に短縮する方針を示したが、わずかな感染拡大も許さない「ゼロコロナ」政策は今後も継続するとしている。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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