(※画像はイメージです/PIXTA)

悪質なクレームをしている大半の人は「正しいことをしている」と考えている場合が多いのです。彼らはたいがい「自分の能力が正当に評価されていない」など日頃から不満に感じています。どう対処すればいいのでしょうか。産業医の井上智介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

正義を振りかざす人に潜む承認欲求

■キレやすい人の心理とは

 

悪質なクレームを入れて強引に自分の要求を通そうとする理不尽なお客様への対処方法をお伝えしましたが、些細なことで腹を立てる人のパターンは決まっています。

 

このような人たちに共通しているのは、自分が「悪質なクレームを言っている」とか「理不尽な要求を通そうとしている」と自覚していない、ということです。むしろ大半の人が「正しいことをしている」と正義を振りかざしているつもりの場合が多いのです。

 

客観的に見れば明らかにおかしいと分かるにもかかわらず、なぜこのようなことをしてしまうのでしょうか。

 

実は、この人たちの深層心理にも承認欲求が潜んでいます。

 

彼らは往々にして、「社会で自分の能力が正当に評価されていない」「存在が認められていない」と日頃から不満に感じており、承認欲求が満たされていません。

 

「自分はもっと評価されるべき人間だ」と思っているため、期待した通りのサービスが受けられないと、「軽く扱われた」「見下された」という被害者意識が働いてしまうのです。

 

たとえば、若い店員さんを呼びつけて「接客のマナーがなっていない! 俺が教えてやる」といった態度をとる年配の方もいますが、この行動も「社会での自分の存在価値や必要性を認めさせたい」という深層心理の表れです。

 

キレることによって相手に謝らせることができると、その場をコントロールできたと感じ、自分が正しいと認められた気分になっているのです。

 

この「相手(場)をコントロールできた」と感じる気持ちを「自己効力感」というのですが、実はこれは、人間にとってかなりの快感です。

 

そのため、1度成功体験を得てしまうと、この快感を再び得ようとしてどんどんエスカレートしてしまうのです。

 

■相手の怒りを収めるには

 

自分に非がないにもかかわらず、突然お客様にキレられる「事故」のような出来事は、誰にでも起きる可能性があります。

 

正しい対処法を知らないままだと、怖い思いをするだけでなく、火に油を注ぐことにもなりかねません。

 

逆に、対処法さえ知っておけば、どうすればよいか全く分からないより落ち着いていられるはず。最悪の事態を防ぐためにも、正しい対処法をあらかじめ頭に入れておきましょう。

 

理不尽な怒りをぶつけてくる人への基本の対処法は、大きく分けて2つあります。

 

まず肝心なのは、いくら怖くても、あたふたしたり、びくびくしないことです。内心では怖いと感じていても、堂々と毅然とした態度を心がけてください。

 

最初の印象で気が弱そうだと思われてしまったら、延々とお説教が続きます。

 

突然のことで面食らってしまうかもしれませんが、「私個人に言われているわけではない」「10分だけ耐えよう」と心を落ち着けましょう。

 

「メタ認知」を使うのもいいですね。

 

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※本連載は井上基介氏が著書『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

職場のめんどくさい人から自分を守る心理学

井上 智介

日本能率協会マネジメントセンター

「仕事の悩みは人間関係が8割」だといいます。 職場ではさまざまな人と関わる必要があり、仕事の関係上、自分が人間関係を選ぶことも難しい。自分に都合の悪いことは無視する上司、融通がきかない部下、承認欲求が強く、自己…

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