「お客様は神様」ではありません
■理不尽な顧客にやってはいけないこと
産業医や精神科医として勤務する中で、最近とても増えたなと感じるのが、お客様に悩まされている方からのご相談です。
ここまで理不尽な顧客が増えた背景にあるのは、「お客様は神様」「お金を払っているほうが偉い」という意識だと思います。
本来、商品やサービスを受ける対価として料金を支払うわけですから、消費者と事業者は対等な関係ですよね。
それ以前に、顧客だからといって店員の尊厳を傷つけるような言動をしてはいけないのは人として当然のことです。
ところが、最近はSNSやネット上の口コミが想像以上の影響力を持つようになったため、ちょっとしたことで「SNSで拡散するぞ」と脅すような人も。
こうした流れからこれまで以上に図に乗る顧客が増えているのかもしれません。事業者側としては、冷静に対話することで穏便に解決したいところですが、残念ながらこのような人たちには、正論やこちらの事情は一切通用しません。
とはいえ、サービスや商品を提供する側にも守りたい権利はありますよね。
この稿では、その権利を守り、被害を最小限に抑えるための具体的な方策をお伝えしていきましょう。
理不尽な顧客は、当たり散らして帰っていくということもありますが、しつこく粘って何かしらの要求をしてくることが多いのではないでしょうか。
サービス内容の改善、商品の返品や返金、交換などは想像がつきますが、時にはそれ以上の過大な要求をしてくる人もいますよね。
このような場合、一体どのように対応すればいいでしょうか。
最もよくないのは、相手の要求を100%受け入れてしてしまうことです。
理不尽な要求が簡単に通ると思われてしまうと、1つだけだったはずの要求があれもこれもと膨らみ、相手をさらにつけあがらせてしまいます。
悪質なクレーマーも少なくないため、要求をはねつけるには勇気がいると思いますが、こうした人たちに1度屈してしまうと、これから先も悩みを抱え続けることになりかねません。
根本的な解決をするためには、その瞬間をなんとか乗り切ろうとするのではなく、「理不尽な要求は通りませんよ」ということを理解してもらう必要があります。
ここからは理不尽な顧客に対応するための心構えと具体的な対処法をお伝えしていきます。