メタバースとNFT、仮想とリアルの逆転をもたらす!?
『米不動産仲介会社「eXpリアルティ」で働くシンシア・マッケナンさん(57)の一日はニューヨークの自宅の居間からオフィスへの「出社」で始まる。販促会議の後はセミナーに出席。同僚との雑談を終え「帰宅」のために仮想現実(VR)ソフトを閉じた。コーヒーを飲みほし家庭農園での野菜づくりに。きょう初めての本当の外出だ』
上記は日経新聞に掲載された記事(2022年1月31日「2030 Game Change」)からの抜粋ですが、実際「eXpリアルティ」社では特にコロナ禍で、全世界で7万人の社員が同様のワークスタイルを利用しています。これは現在日本でも行われているリモートワークの延長線上にあるものですが、没入感としては全く異なる世界といえるものです。
そもそもメタバースとは「メタ(meta/超越した、高次元の)」と「ユニバース(universe/宇宙)」を組み合わせた造語です。コンピュータのサイバー空間上に構築された仮想空間であり、アバターと呼ばれる自分の分身を介してその世界に入り、他の利用者とコミュニケーションしたり、オフィスに出社したりできるものです。さらに、仮想店舗に立ち寄ったり、アーティストのライブに参加することも可能です。まさに仮想空間上に構築された街に住むイメージといえます。
さらに、先進の製造業では、エヌビディア社が開発したオムニバース(仮想空間上の共同作業プラットフォーム)を活用し、現実の工場や物流センターを仮想空間上に忠実に再現し、シミュレーションできるデジタル・ツインを実施しています。ちなみにBMW社では、オムニバースの導入により、コストを30%削減することに成功しました。
最近ではフェイスブック社がメタバースの将来性にかけて、社名をメタプラットフォームズに変更し、同事業に年間1兆円投資することを決定したことも話題となりました。
またNFT(Non-Fungible Token)も注目されていますが、これはブロックチェーン技術を用いた偽造不可能なデジタルデータのことです。今後、あなたが発した言葉やデザインや動画がNFTとして保存され、仮想空間上で高額で取引されるかもしれません。
つまり近い将来、メタバース上で土地を買う、もしくはスペースを借りてそこでリアルのビジネスと同様にNFT化された商品や暗号資産(イーサリアム、ビットコイン等)を活用して起業するということも十分考えられるわけです。
木下 雄介
カッティング・エッジ株式会社 代表取締役
中小企業診断士