香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
アジア株は全般にしっかりした展開
21日のアジア市場の株式指数は、欧州株が反発したことを受けて全面高となった。時間外の米国株式先物でもナスダック100指数先物が前営業日比2%を超える上げ幅となったことが支えとなった。
売り優勢となったハイテク株に買い戻しの動きが見られ、日経平均は前日比1.8%上昇し26,246.31で引けた。前日、年初来安値を更新した韓国総合株価指数(KOSPI)も反発し、2,400ptを回復して同0.7%高で引けた。
一方で、世界的に金融引き締めへの動きが加速するなか、インフレの長期化が景気を脅かすのではという懸念も高まっている。20日、オーストラリア準備銀行(RBA)のロウ総裁は、インフレ率は今年7%に加速する可能性があると指摘した。
5月の同国CPIは前年比 5.1%上昇、これを受けてRBAは今月8日、50bpの大幅利上げを行った。ロウ総裁は7月の会合でも25bpまたは50bpの利上げを議論することを示唆した。
休場明けの米国債券市場では、インフレへの懸念から再び債券相場は売りで反応し、10年米国債利回りは3.28%台をつけた。予想外の利上げ幅で利上げが続く主要中銀の動きは市場の不確実性を高めており、当分は落ち着きを取り戻すとは予想し難い。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」