再就職決定。しかし試練が待っていた…
▶どんな仕事なら受け入れられる?
資格を取っても仕事が見つからず、かといって独立するだけの準備も整っていない。退職金はあるものの、ローンもたくさん残っており、働き始めないとすぐに底をついてしまいます。あわてて再就職求人を探しますが、なかなか思うような求人は見つかりません。やはり60歳からの再就職は甘くなかったのです。
仕事を選ばなければ求人は見つけられますが、心動されるものがありません。自分が求めているものと、現実に求められているものとの間にギャップがありました。
そこで自分が受け入れることができる分野は何か、考えてみました。今までの仕事の中で得意なこと、好きなことを考えると「採用」と「研修」でした。
そこで採用か研修を探すことに方向転換します。それから人材紹介会社の求人サイトで採用の求人を探す毎日が続きます。なかなか見つからずにいたところ、保育園業界での「採用担当募集」の求人が目に飛び込んできました。
連絡するとすぐに会いたいとのことで、時間を空けず面接が決まります。面接に行ってみると、いきなり社長はじめ会社の幹部との面接で驚きました。
保育業界は保育士の採用が困難を極めていて、面接時にも、すぐに成果を上げられるかどうか、尋ねられました。厳しい要求の一方で、社長からは熱のこもった会社説明があり、入社してほしいという気持ちが前面に出ていました。大規模保育園を次年度の4月に開園するので人を集めなくてはならず、協力してほしいとのことでした。
面接が終わって、すぐに採用の連絡が来ました。できればすぐにでも来てほしいと言われ、翌月の入社が決まりました。嬉しかったのはもちろん、就職が決まったという安心感もありました。しかし一社でしか働いたことがなく、違う会社で働くのは初めてなので、どうなるかという不安も同時にありました。
▶思いがけない試練
驚いたことに、再就職先では一緒に働くメンバーは複数名いると聞いていましたが、実質私一人しかいない状況でした。新しい大型の保育園の開園までわずか5カ月しかありません。社長から依頼を受けた採用目標人数は20名。この時点で採用になっている人は数名だけ。厳しい現実です。
もう後はやれることをやるしかありません。採用イベントに参加、人材紹介会社への度重なる依頼、保育士を養成する学校への訪問、新しいWe b対策、内部異動とありとあらゆる手段を駆使し、なんと奇跡的に目標人数に達することができました。現場の先生方から、たいへん喜ばれました。
しかし、ここで思いもしない試練が待ち受けていたのです。
保育園が開園してしばらくした時のことです。そろそろ、未決定だった採用課の責任者に私がなると思っていました。ところが突然採用業務未経験でかなり年下の女性が、私の上司として親会社から呼ばれ赴任することになったのです。そして私の仕事内容が採用全般から新卒採用のみに変更されました。まったくの青天の霹靂です。
それからは、良い企画を立てても、片隅の小さなところを批判されることが続きました。新卒採用にとって要になる学校のことを一番知っているにもかかわらず、現場のことを知らない人に、訪問先の指示を受けます。
訪問先から帰社して日誌を書くまで退社できないなど、行動監視までされました。請われて入社したのに、かなりの屈辱です。なんでこんな目に遭うのだという気持ちで眠れない夜もありました。
なぜこんなことが起こるのか、実績もあげていたし、現場の保育園の園長先生からは感謝もされていました。どうしてなのだろう。心の声が叫んでいました。随分悩みましたが、その答えは次に続く、ある人と話す会話の中にありました。
・ 現役時代に得意なものがあると就職が決まりやすい。現役時代から自分の得意なこと、売りになるものを意識し仕事の質を高めておくことが重要。
・ 嫌な体験は、その時は辛いものだが、後で貴重な財産になる。
髙橋 伸典
セカンドキャリアコンサルタント
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