(※写真はイメージです/PIXTA)

年金の支給開始は65歳ですが、受け取る側からすれば60歳から75歳までの15年間で、いつでも好きな時から受け取り始めることができるということができます。セカンドキャリアコンサルタントの高橋伸典氏が著書『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

専門的な知識プラス応用力が必要

▼再就職で求められるスキル

 

髙橋:仕事についてお伺いします。再就職についてですが、定年前後に再雇用でなく知人の紹介で再就職した人は、就職が決まりやすく、楽しく生き生き働いている印象を私は持っています。再就職や転職を考えている場合、現役時代からいろいろな方との関係を作っておいた方が良いのでしょうか。

 

大江:再就職のデータは詳しくは持ってないのですが、私の友人で、定年後に再就職、転職した人達を見てる限りにおいては、知人による紹介で「ちょっとうちきてくれませんか」と言われて行った人の方が楽しく、充実して働いてる面はありますね。

 

転職っていうのは、自分から売り込みに行ってもダメで、向こうから来てくれってオファーがあった方が絶対いいわけです。つまり自由契約になったら選手が売り込みに行くんじゃなくて、向こうからトレードの申し入れがあっていく方が絶対いいポジションにつけますよね。

 

そういう意味では、すごく逆説的になるんですけど、私は50代になって定年近くになってきたら、仕事を頑張るべきだと思うんですよね。サラリーマンは、今いる会社の中で上に行くためにだけを考えるんじゃなくて、今の仕事を、業界で名前が知られるようになるぐらいまで頑張ると、絶対トレードにきますよ。これは多分どの分野でも同じだと思います。

 

髙橋:それはかなり専門的な知識プラス応用力がなければ無理ですよね。

 

大江:そうですね、専門性の高い仕事はもちろんそうですし、そこまでじゃなくても例えば営業であったり、経理や総務であったり、いろんなところで仕事してきた人にとってはその分野に関するノウハウを持ってるわけです。だからできる限り外部の人といろいろなつながりのあった時に「こういうことをやってるんです。こういうこと一筋にやってきたんです」と言ってアピールしておくことが大事なんです。

 

そうするとふと何かの時に「そう言えば、大江さんって営業一筋だって言ってたよね」「こういうことできるかな?」みたいに、声をかけてもらったりするわけですよ。

 

同じ業界の中でも、ライバル同士が情報交換会みたいな集まりで親しくなるケースがありますが、そういうのはやっぱりどんどん活用していくべきでしょうね。

 

髙橋:そうは言っても、うまくいかないケースも多いと思います。60歳の定年になるまで準備ができていなくても、それ以降自分の専門領域を深めていって、創意工夫をしていけば、大丈夫なのでしょうか。

 

大江:そう思いますよ。今までは60までの間にやっておけと言われてましたけど、もう今や70歳まで働くっていう時代ですからね。そもそも70歳まで雇用が努力義務化されるということですから60歳から65歳っていうのは、次の転職準備期間みたいに考えていいと思います。

 

60歳になるまで結構仕事が忙しくて、考える暇がないと言われる人は多いと思います。60歳になって再雇用になると時間ができますから。意識して取り組まれたらいいのでないかと思います。

次ページ再就職に必要な「ギブファースト」意識

※本連載は、髙橋伸典氏の著書『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書

退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書

髙橋 伸典

日本能率協会マネジメントセンター

この一冊で定年後の不安を払拭! 定年後の3大リスク(お金/仕事、孤独、健康)に対し、具体的に乗り越える方法を提示。定年後、どのようにすればいいか不安を抱えている人に贈る指南書です。

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