(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

中国人民銀行は政策金利の据え置きを実施

中国人民銀行は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(LPR)を発表し、市場の予想通り据え置いた。1年物LPRは3.7%、5年物LPRは4.45%、それぞれ前月と変わらず、1年物については5か月連続の据え置きとなった。人民銀は先週、中期貸出制度(MLF)についても1年物金利の引き下げを2.85%から見送っていた。

 

 

 

5月には住宅ローン金利に影響を及ぼす5年物LPRを15bps引き下げていた。前回の5年物LPRの引き下げ幅は、2019年にLPRが現行の制度に移行してから、最も大幅な引き下げで、不動産市況の下支えを意図したものであると解釈されている。

 

中国の消費者物価指数は世界的にみると低い伸びが続いている。しかし、世界的に、物価の上昇ピッチが上昇しており、主要中銀は金融引き締めにシフトしている。そんな中で、積極的な金融緩和を踏み込むことは、中国人民銀行にも躊躇があるのだろう。

 

また中国はロックダウンの影響から抜け出し、経済はやや改善の兆しをみせていることも、金利引き下げを見送った要因と考えられる。

本土は感染者数減、マカオは8か月ぶりの市中感染確認

週末の新型コロナウイルスの集中検査でも感染は抑制されている状況が続いている。前日の新規感染者数(無症状含む)は24人と先週から大幅に減少し、5日連続で100人を下回った。

 

内訳は北京市が5人、上海市は13人、深圳市、内モンゴル自治区はともに感染者数はゼロだった。上海市は7月末まで毎週末、大規模コロナ検査を実施する予定も足元の新規感染者数は減少傾向にある。

 

ゼロコロナ政策下の中国当局は新規感染者に対して敏感に反応し、政策変更の有無が求められる。依然として、行動規制(ロックダウン)と隣り合わせの政策を実施する中国当局の政策転換がいつ行われるのだろうか?

 

マカオでは、週末、新型コロナウイルスの市中感染が8カ月ぶりに確認された。マカオ政府は、住民約60万人を対象にした集団検査を行うと発表した。検査は21日まで3日間にわたって実施される見通しで、ほとんどの住民は自宅待機を強いられ、レストランでの店内飲食サービスを停止するという。

 

マカオ通貨当局はマカオのすべての銀行と保険会社の営業を停止した。19日日曜日の感染者数は21人に増加し、そのうち13人は無症状感染によるものである。マカオは中国の「ゼロコロナ」政策を踏襲しており、感染者数の推移には敏感に反応せざるを得ない。

 

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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