香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
日銀は大規模な金融緩和を維持
日本銀行は17日、金融政策決定会合を開き大規模な金融緩和策を維持する方針を決めた。短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する金利操作を続け、イールドカーブ・コントロール(YCC)の維持を決定した。
今回の日銀の判断は各国の中央銀行が利上げを軸にした金融引き締めにかじを切っている動きとは対照的なものが印象的となった。
為替相場では、ドル円が一時132円台まで円が値を戻していたものの、日銀の金融緩和政策維持の発表を受けて2円程度下落し、一時134.8円/ドル台までドルの買い戻しが入った。
債券市場では朝方に日本10年債金利は0.265%まで上昇し、2016年1月以来の高水準をつけるというサプライズはあったものの、日銀は姿勢が変わらず日中には0.22%まで低下した。
一部の市場参加者は政策修正を見込んで売っていた国債を買い戻す動き場面が見られ、海外投資家の圧力に屈しず大規模な緩和を維持する姿勢を貫いた。
黒田総裁は「為替レートをターゲットにして金融政策を運営している国はない」と述べ、金融政策の判断は円安の動向ではなく、物価の安定を基本とする従来方針に変わりはないと強調した。日銀は当面は粘り強く金融緩和を続けるものとみられる。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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