(※写真はイメージです/PIXTA)

「社外承継」の成否は、優秀な人材を招へいできるかにかかっています。気をつけたいのが、実績が華やかだからといって、あなたの会社の社長として優秀であるとは限らないということです。どう探せばいいのでしょうか。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

外部人材の獲得には協力者が必要

社外承継の成否を握るのは、いかにして優秀な人材を招へいするかにかかっていますが、どのように探せばよいでしょうか。

 

まず、現経営者自身の人脈を頼る方法が考えられますが、現実的でない面もあります。なぜなら、そもそも多忙な社長が業務時間の間を縫って、相手探しに奔走する余裕はあるのでしょうか。経営者仲間から見つけることはできるかもしれませんが、こういった集まりは同世代が集まっていることが多く、高齢者同士だと事業承継の意味が薄れてしまいます。

 

何より、周りに相談することで、「業績がよくないのでは」などあらぬ噂が立ち、結果的に承継しにくくなる可能性があります。ただし、取引のある金融機関が人材紹介のネットワークを持っていたり、経営者と人脈のある税理士や会計士が相談に乗ったりすることはあるので、専門家に打ち明けることはあっていいかもしれません。

 

ヘッドハンティングを専門とする人材紹介サービスを利用する方法もあります。この場合、費用はかかりますがしっかりとした選考やフォローを期待することができ、人材のミスマッチを抑えることができます。

 

面談の際に事業計画書を提出してもらう、現経営者だけではなくコンサルタントも同席して評価してもらうといったことで手腕を確かめることもできるでしょう。現経営者側も条件面を明らかにするなど、自社を適切にジャッジしてもらう用意をして臨むことです。

 

ケースバイケースですが、第三者に事業を引き継ぐ場合は、相手から直近の業績や自社を取り巻く環境、今後の業界動向についてなどの質問を受けたり、過去3年分の決算書や得意先のリストなど、事業状況を明らかにするよう求められたりすることがあります。これらの情報を整理・準備する必要もあるので、早めに取り掛かった方がいいのです。

 

近年は新たな取り組みも始まっています。その一つが、当社M&Aナビの親会社による「リノベーション・スタートアップ」です。これは、日本の将来を担う30歳前後の若者を後継者候補として契約し、若者自らが後継者不足の会社の中から後継者になりたい会社を探して、親会社が運営するファンドがその会社の株式を旧オーナーから買い取るというものです。

 

買収後は若手新経営者に一定の株式を割り当て、ともに事業改革を進めIPO(新規上場)を目指します。M&Aに近いサービスですが、資金不足の若手人材でも事業を承継し、永続的に経営に携われる手段として注目されています。

 

瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。
瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。

 

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※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業向け 会社を守る事業承継

中小企業向け 会社を守る事業承継

瀧田 雄介

アルク

後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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