ロシアのウクライナ侵攻の悲劇…日本人はどう評価すべきなのか

なぜ戦争は起きるのか。戦争を引き起こす原因はいろいろあります。第一次大戦後、昭和恐慌が発生し、日本経済は大混乱に陥りました。第二次大戦を引き起こす原因となる日本の大陸進出は、避けることはできなかったのでしょうか。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

戦争の原因は経済というケースは多い

■大東亜戦争と経済

 

歴史的に戦争の原因が経済だったケースは多々あります。例えば日本が先の大戦を起こしたのも、やはり経済的に追いこまれたことが理由のひとつだったりします。

 

世界大恐慌があって、日本は満洲事変を起こして満洲国をつくりました。それはソ連の脅威に対処するのが大きな理由でもあります。中国に関していえば、その時点で結構な数の日本企業や居留民が行っていました。

 

その人たちが虐殺されたとか、テロに遭ったとか、いろいろなことが起きたわけです。そうなると当然、日本軍が日本人の生命と財産を守るためにという名目で出ていきます。それでドンパチが発生し、だんだんと戦火が広がっていった。

 

その後の盧溝橋事件で日中戦争に至りましたが、伏線としては日本が経済権益を得たい、つまり経済圏を中国大陸に広げたいという理由が大きかった。しかし、日本に石油をはじめとする資源の供給をしていたアメリカが日本を牽制するため、禁輸の措置をとりました。

 

日本は経済、そして軍を維持するために資源を求めてインドシナ半島に出ていかざるを得なくなった。それで南下作戦をとったということです。

 

インドシナ半島にまず行って、その次は当然のようにオランダ領インドネシアです。大きな油田がありますから。

 

ということで自ずとこれは米英を敵に回すしかないことになり、真珠湾攻撃という流れになった。日本が日米開戦を避けたいなら、最後通牒と評される「ハルノート」をのむしかありませんでした。しかし、もしのんだらどうなったか。満洲国は放棄し、インドシナ半島から撤退、中国大陸からも全面撤退です。

 

口では簡単に言えますが、そこに至るまで大きな犠牲を払っています。この段階で日本軍は相当な戦死者を出し、産業振興で結構な額のお金もつぎ込んでいますし、国民の精神は高揚している。ここでハルノートをのんで全面撤退なんてことになったら、東條内閣は退陣に追い込まれる。政治的にも経済的にも、そして軍事的にもどうにもならないという状況に追い込まれていったわけです。

 

こういう流れから見ると、先の大戦勃発の最大の原因のひとつは、中国における日本の経済権益の維持だといえるでしょう。それを確保するために、結局日本は開戦に踏み込まざるを得なかった。

 

日清戦争以降、日本は中国大陸に進出し、1932年、傀儡の満洲国を建てました。これは経済的にどういう意味合いがあったのか。まず満洲には鉄鉱石や石炭の鉱山がありました。だから、資源確保では進出の意味があるわけです。食料も、大豆や小麦の大規模生産ができました。満洲国を建国して、経済権益を確保するという動機は相当強かったはずです。

 

加えて日本国内は1929年の大恐慌の影響を受けた昭和恐慌の真っ盛りで、経済的にはひどい状態でした。第一次世界大戦が終わったあとの反動不況が昭和恐慌の発端のひとつです。

 

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産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

1946年高知県生まれ。70年早稲田大学政治経済学部経済学科卒後、日本経済新聞入社。ワシントン特派員、経済部次長・編集委員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級フェロー、香港支局長、東京本社編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)を経て、2006年に産経新聞社に移籍、現在に至る。主な著書に『日経新聞の真実』(光文社新書)、『人民元・ドル・円』(岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係』(扶桑社新書)、『検証 米中貿易戦争』(マガジンランド)、『日本再興』(ワニブックス)がある。近著に『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)がある。

著者紹介

連載日本人の給料が25年間上がらない残念な理由

本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

田村 秀男

ワニブックスPLUS新書

給料が増えないのも、「安いニッポン」に成り下がったのも、すべて経済成長を軽視したことが原因です。 物価が上がらない、そして給料も上がらないことにすっかり慣れきってしまった日本人。ところが、世界中の指導者が第一の…

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