毎月10万円以上の家賃があると厳しい
■わたしって、実際のところ、いくら年金をもらえるんでしょう?
――平均的な支給額などについてはわかりました。では、実際にわたしの場合はどうなるのでしょう。夫婦の「ねんきん定期便」を見せてほしいとのことでしたので、持ってきました。ところで、「ねんきん定期便」って何ですか?
長尾FP 「ねんきん定期便」とは、日本年金機構から毎年誕生月に送られてくる重要なお知らせです。ほら、「必ず中身をご確認ください」と書かれているでしょう。もしかしたら、ちゃんと見たことがなかったんでしょうか。
――いや〜、ハハハ……。そんなに大切なものなんですか?
長尾FP 自分の年金記録が書かれているので、届いたら必ずチェックし、大事に保管するようにしてください。通常は葉書で届き、35歳、45歳、59歳の誕生日には封書で郵送されてきます。
あなたの「ねんきん定期便」を見てみると、支給される年金の総額は月額15万円ほどになっていますね。これは確定した金額ではなく、60歳まで現在の条件で働いたと仮定した場合の見込み金額です。50歳未満の場合、記載されている金額は、これまでの払い込んだ保険料をもとに計算されたもので、これからの働き方で増えていくものです。参考程度だと思ってください。
――妻の「ねんきん定期便」に記されている数字はちょっと少ないですよね。しばらく、フルタイムで働いていないからですか?
長尾FP パートということですね。厚生年金の加入期間が短い、または給与が少ないといった場合は受給額が少なくなります。あなた方夫婦の場合は、合わせて月額26万円ほどになりそうです。
――そうですか。先ほど聞いた厚生労働省の平均額と同じくらいなんですね。いまの暮らしよりも、毎月10万円近く削らないといけないのか。どうしよう……思っていたよりも、ずっと厳しいなあ……。
長尾FP 仕事をしなくても生活していけるかどうかといえば、この年金支給額でも何とか可能でしょう。ただし、賃貸住宅に暮らしていて、毎月10万円以上の家賃を支払い続けるとか、定年後も住宅ローンの支払いが長期間残っているような場合は、はっきりいって厳しいです。
たとえば、生活するのにいっぱいいっぱいで、年金だけでは毎月10万円の家賃分が赤字になるとしましょう。この場合、10年で1200万円、老後生活が30年続くとしたら、家賃だけで3600万円の貯蓄が必要ということになります。
あなたの場合は、分譲マンション暮らしでしたよね。住宅ローンも終わっているそうなので、何とか暮らすことはできるでしょう。
――確かに、暮らしていくだけなら可能でしょうね。それにしても、ひと月これだけの年金しかもらえないのか。正直言って、ちょっとショックです……。
長尾 義弘
フィナンシャルプランナー
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