65歳の定年まで働いたのに、年金22万円で生活するのにいっぱいいっぱいで、年金だけでは毎月10万円の家賃分が赤字になるとしましょう。この場合、10年で1200万円、老後生活が30年続くとしたら、家賃だけで3600万円の貯蓄が必要ということになります。フィナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春新書)で解説します。

共働き夫婦なら年金月額26万円に

■年金って大事なんでしょうけど、じつはよくわかっていなくて…

 

――老後の生活では、年金がすごく大事になりますよね。でも、もらうのがまだ10年先ということもあって、じつは年金のことをあまり知らなくて……。

 

長尾FP あなたのように、年金の仕組みをよくわかっていない人は多いようです。老後のお金の基盤になるものなので、しっかり理解しておいてくださいね。

 

厚生労働省の平均的な厚生年金の受給額を見てみましょう。

 

夫婦共働きの厚生年金の平均の受給月額は、夫が月額約16万円で、妻が約10万円。合わせて、だいたい月額26万円から27万円の年金が支給されます(基礎年金も含まれた金額)。

 

どうでしょう。このお金で暮らしていけますか?

 

――意識調査や家計調査報告の数字と照らし合わせると、レジャーや旅行などを楽しむ余裕はあまりなさそうですが、暮らしていくことはできそうです。

 

長尾FP はい。楽ではないにしても、生活はできるでしょう。

 

ただ、先ほどの試算は夫婦共働きの場合です。奥さんが専業主婦の家庭もたくさんあります。そういったケースでは、奥さんがもらえるのは基礎年金だけなので、平均月額5万4000円しか支給されません。

 

――すみません……基礎年金って何ですか?

 

長尾FP あ、そこからですか。国民年金のことは知っていますよね。20歳以上60歳未満の国民の全員が加入する制度です。

 

自営業者やフリーランスを第1号被保険者。会社員や公務員などの勤め人を第2号被保険者。第2号被保険者の被扶養者配偶者、つまり専業主婦の奥さんを第3号被保険者といいます。

 

基礎年金とは国民年金の加入者に対して、老後の保障として支給される年金のことです。正式には老齢基礎年金といいます。一方、会社員や公務員には老齢厚生年金(以下、厚生年金)も支払われます。

 

支給額は在職中の給与水準や加入期間によって決まり、基礎年金に上乗せして給付されます。

 

公的年金を説明するときは、土台となる国民年金を年金の「1階部分」、これに上乗せされる厚生年金を「2階部分」と言っています。

 

会社員や公務員は、土台となる1階部分に加えて、2階部分ももらえるのでお得なんですよ。

 

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本連載は、長尾義弘氏の著書『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春新書)より一部を抜粋し、再編集したものです。

とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?

とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?

長尾 義弘

青春出版社

投資をしろだの、iDeCoだNISAだのと、いまの世の中、お金を増やしたり貯めたり守ったりの話があふれています。 一方で、「そんなこと、いまさら言われても遅いんだよ!」と憤ったり、暗い気持ちになっている50代は少なくありま…

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