寿命が延び、高齢者の数が増えていくのに連動して、会社の定年も延びる傾向にあります。老後を楽に暮らすためにはどうすればいいのでしょうか。答えはシンプルで、長く働くのがいちばんなのですが…。フィナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春新書)で解説します。

波平さんは54歳。当時の男性平均寿命は65歳!

■う〜ん、納得いきません。なぜ、いまの50代の老後は厳しいんでしょう?

 

――ちょっとおかしい、納得いかないなと思うのが、ひと世代、ふた世代前の人たちは、けっこう楽な老後をおくっていたような気がするんです。これから迎えるわたしたちの老後の暮らしは、なぜ厳しくなるんでしょう。

 

長尾FP 昔と比べて、いまの現役世代が大変なのは仕方がないんですよ。いまと昔の違いを語るとき、よく例に出されるのが『サザエさん』です。あの国民的アニメに出てくる波平さんは何歳なのか知っていますか?

 

――「おじさん」というよりも、「おじいさん」という言葉が似合うたたずまいですが、意外と若いんですよね?

 

長尾FP ええ、じつはまだ54歳です。昭和の時代の終わり近くまで、会社員は55歳で定年退職するのが一般的でした。波平さんは定年になる1年前という設定なんですよ。55歳のあなたとほぼ同じ年齢です。

 

――波平さんの風貌を見るとちょっと信じがたいのですが、一応、わたしのほうが年上なんですね。知り合いだったら敬語使っちゃいそうだなぁ。

 

長尾FP 波平さんがあれほど高齢者っぽく描かれていたのは、現在と状況がまるで違うからです。昭和30年頃の男性の平均寿命は65歳前後でした。つまり55歳で定年退職をしたら、そのあと、多くの人はたったの10年ほどで寿命を迎えていたんです。だから、波平さんはあんなに老けていたんですよ。

 

当時は年金を受け取れる時期も早かったし、多くの場合、退職金もあったでしょう。定年退職後の10年程度なら、ご隠居さんのような暮らし方をしても、何の問題もなく暮らすことが可能でした。

 

その後、日本人の平均寿命は右肩上がりで延びていきますが、昭和末期でも男性はまだ75歳に届くか届かないか。いまとは老後の長さが違っていたんですよ。

 

楽に老後を暮らせたのはうらやましいですが、早く寿命を迎えるというのは困ります……。いまのほうがいいのかなあ。

 

■結局、老後の生活を楽にするには、どうしたらいいんでしょうか…

 

――自分たちの世代はやはり、老後のお金がより多く必要となるんですね。

 

長尾FP 1年間生きていたら、最低限の暮らしをしても200万円から300万円はかかります。もちろん、ときどきレジャーや旅行を楽しみたいのなら、もっとずっとお金が必要になります。

 

次ページ老後を楽にする解決策は「長く働く」こと

本連載は、長尾義弘氏の著書『とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?』(青春新書)より一部を抜粋し、再編集したものです。

とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?

とっくに50代 老後のお金どう作ればいいですか?

長尾 義弘

青春出版社

投資をしろだの、iDeCoだNISAだのと、いまの世の中、お金を増やしたり貯めたり守ったりの話があふれています。 一方で、「そんなこと、いまさら言われても遅いんだよ!」と憤ったり、暗い気持ちになっている50代は少なくありま…

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