(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

香港ハンセン指数は大幅続伸

ハンセン指数 21,123.93 pt (+2.06%)

中国本土株指数 7,255.13 pt (+2.44%)

レッドチップ指数 3,905.41 pt (+0.68%)

売買代金1,288億1百万HK$(前日1,200億6百万HK$)

 

先週、米国株式市場が、過度なインフレ警戒感が緩和したことから、週足で8週間ぶりに反発に転じたことや、上海市政府が発表した景気刺激策を受けて、経済活動の正常化期待が膨らみ、リスク選好度が高まったことから、香港ハンセン指数は大幅続伸した。同指数は21,000ptを回復し、前営業日比で2.06%高、4週ぶりの高値水準で引けた。

 

経済再開期待の高まりから外食や旅行関連銘柄の上昇が目立った。火鍋チェーンの海底撈国際HD(6862)が9%上昇、外食チェーンの九毛九国際(9922)、華潤ビール(0291)が反発した。航空銘柄やカジノ関連銘柄も上昇し、相場を押し上げる展開となった。

 

中国本土の株式市場では、上海総合指数が4日続伸となり前営業日比0.30%高の3,139.52、CSI300指数は同0.69%高の4,029.02で引けた。

上海市政府は景気刺激策を発表

上海市政府は2ヵ月に及ぶロックダウンを終了させる。6月1日からは公共の場所に入る際に、課していた検査義務を緩和する。上海市の新型コロナウイルスの新規感染者数は、29日に67人(前日122人)と100人を下回ってピークからは減少傾向である。6月からは全ての製造業者が生産を再開することを認め、企業活動再開に必要だった認可を不要とすると説明した。

 

呉清・上海副市長は29日の記者会見で、新型コロナウイルス対策で影響を受けた経済を立て直すため「経済回復の加速、経済の振興を図るための行動案」を発表した。措置には8分野の計50項目が含まれる。今回の措置は6月1日から実施され、2022年12月31日まで有効とされる。

 

企業の安定化を支援するため多面的なアプローチで企業の負担を軽減する方針であり、税金の還付や補助金の付与、家賃の減税または免税など企業をサポートする内容が含まれる。また社会保険料や納税の遅延も認める。

 

消費に回復に関しては自動車製品をはじめとする消費活性化に乗り出す方針を示し、乗用車ナンバープレートを年間で40,000枚増やし、一部の乗用車の購入税を削減または免除し、電気自動車の購入には10,000元の一時助成金を提供する。

 

住宅に関しては家電製品の下取りや点検料を50%割引で提供するなどの施策を含み、雇用面ではオンラインでの職業面談を一人あたり年間3回まで、毎回600元の補助金を提供する。失業者には2,000元の補助金が付与される。

 

また、首都北京市では29日、行動制限措置を一部緩和した。先週発表された国務院による追加政策パッケージへの期待や行動制限の緩和による経済活動の活発化期待が相場を下支える展開に繋がるか注目したい。今週は、CSI300指数で、4,000台を下値として固められるかを見極めたい。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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