(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

香港ハンセン指数は3日続伸

ハンセン指数 21,415.20 pt (+1.38%)


中国本土株指数 7,416.75 pt (+2.23%)


レッドチップ指数 3,956.05 pt (+1.30%)

売買代金2,456億0百万HK$(前日1,288億1百万HK$)

 

米国市場は「Memorial Day」で株式市場が休場だったこともあり、31日の中国・香港市場は前日比変わらずの寄り付きで始まった。

 

先週の中国政府の追加経済対策により、過度の中国経済鈍化懸念が和らぎ、香港ハンセン指数は3日続伸し、前日比で1.38%高となった。ハンセンテック指数は前日比3.02%と大幅続伸、検索大手の百度(9888)、動画投稿アプリの快手(1024)が揃って7%高、電子商取引 プラットフォームの美団(3690)は6%上昇した。また昨日に続いてレストランチェーンや外食関連が相場を押し上げ、経済持ち直しも期待できる銘柄の物色が目立った。

 

朝方発表された中国の経済指標PMIや、追加景気対策への期待、行動制限の緩和による経済活動の活発化期待が相場を下支えした。このところ、中国本土の新型コロナウイルス感染者数が減少していることも心理的に支えとなった。30日の中国本土の新規感染者は97人と今年の3月2日以来、100人を下回った。

 

上海では6月1日から、ショッピングモール、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、薬局、その他の商業施設が再開され、映画館やジムについても最大収容者数の75%超えない範囲での営業が再開される見通しである。上海市内の自家用車の通行も再開され、今後はさらに段階的に緩和がはじまる可能性が高い。

製造業購買担当者景気指数PMI(5月)

中国国家統計局が発表した、5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6(前月47.4)と事前予想の48.9をわずかに上回った。5月の非製造業PMIも前月の41.9から持ち直し47.8となった。製造業・非製造業ともに景況改善・悪化の分岐点となる50を3ヶ月連続で下回っている点は気がかりだが、前月で最悪の状況を脱し回復基調にあるとの見方が広がった。6月からは上海などで、全ての製造業者が生産を再開し、移動制限によって規制されていた内需や製造業については改善が見られるとの期待が膨らんだ。

 

5月の製造業PMIは、企業規模別でみると大企業はPMIが51と前月から2.9ポイント上昇し節目である50を上回った。対象21業種でも、過半の12業種で50を超えた。生産指数は前月比5.3ポイント上昇の49.7、新規受注指数も同5.6ポイント上昇して48.2と製造業を構成する指数はすべてでボトムからの回復基調にあることが示唆される。

 

中国のサプライチェーンの問題は今後さらに改善の余地があり、中国の製造業PMIは6月に大きく戻すとの強気の予想も出ていた。足元の感染者数が落ち着きを見せ始め、経済活動の再開が本格化し、追加政策発動も背中を後押しするとなれば、中国経済のボトムアウトにも期待が高まろう。

 

 
 
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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