(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

香港ハンセン指数は大幅反発

ハンセン指数 20,697.36 pt (+2.89%)

中国本土株指数 7,082.38 pt (+2.98%)

レッドチップ指数 3,879.00 pt (+1.23%)

売買代金1,200億6百万HK$(前日955億1百万HK$)

 

香港ハンセン指数は大幅反発し、前日比で2.89%高となった。米国市場は小売企業が市場を上回る四半期決算の発表が相次ぎ、ダウ平均株価は5日続伸した。米経済を支える消費の堅調さが改めて確認され、米株高を受け香港・中国市場は反発した。

 

ハンセンテック指数は前日比3.80%高と他指数をアウトパフォームし、構成銘柄は全面高となった。中国ネット大手の決算上振れが投資家心理を上向かせ、検索大手の百度(9888)が14%高、中国ネット通販大手のアリババ(9988)は12%余り上昇した。ネット株をはじめ関連株にも買いが波及し、動画配信のビリビリ(9626)が6%高、テンセント(0700)は2%高となった。



 

前日、第4四半期および通期決算を発表したアリババ(9988)は22年1-3月期の決算が最終損益162億元の赤字となり、赤字幅は前年同期の54億元から3倍に膨らんだ。一方、前四半期の売上高は前年比9%増の2040億元と、市場予想の2006億元を上回ったことが好感された。また同日、第1四半期決算を発表した百度(9888)についても22年1-3月期の売上高が予想を大幅に上回ったことが好感された。大和証券は第1四半期のクラウドの収益成長の進捗は安定しており、同社株のレーティングを改めて「Buy」に設定し、目標株価を従来の203香港ドルから210香港ドルに引き上げている。

 

また中国本土では新型コロナウイルスの新規感染者数が落ち着いていることも材料視された。26日の中国本土の新規感染者数は354人(前日460人)と連日で500人を下回った。明日で事実上のロックダウンが2か月となる上海市では6月6日から一部の学校で対面授業が再開される。上海市をはじめ中国経済の再開期待が株価を押し上げた。

 

中国本土の株式市場は、上海総合指数が3日続伸し前日比0.23%高の3130.24、CSI300指数は同0.21%高の4001.30で引けた。

中国不動産株の取引が再開

中国・江蘇省の大手不動産会社である佳源國際(2768)は5月18日以来、取引が再開され前日比39%下落した。同社株は同月18日、40%以上下落していた。佳源國際は2023年2月に支払う13.75%の利息を債券の契約条件に従って全額返済したと発表し、さらに同社は2022年10月に期限が到来する12%のシニア債の利息返済についても、来週月曜日までに約1200万米ドルの返済に必要な資金を受託者の銀行口座に送金する準備が整ったとしている。

 

また同日、取引再開となった不動産管理会社の佳源服务(1153)は前日比35%強上昇した。同社株は18日、70%余り下落していた。流動性に苦しむ不動産会社株の不安定感はセクターのみならず、市場全体の重しになっている可能性が高い。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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