(※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームに入居する前は、「頼みます」と入居を懇願するも、いざ入居したとたんに態度は豹変し、身体拘束も禁止、車いすも禁止、ホーム内は安全なので、すべて本人に歩かせるような介護支援を強要する家族が存在します。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で解説します。

老人ホームに押しつける入居者と家族

■なぜ、入居者を受け入れないという現象が起きるのか?

 

少し視点を変えて話を進めていきます。なぜ、入りたいという入居者に対し「NO」と言うケースが発生するのでしょうか?

 

私は、次のように分析しています。介護業界は、そもそも、医療業界から派生して出来上がった業界です。介護保険法は2000年から始まりましたが、当然、その前から介護という仕事はありました。私が介護業界に身を置いた当初は、介護業界の主たる担い手は、医療従事者でした。

 

かくいう私も、介護の多くは、医療従事者、わかりやすく言えば、看護師から学びました。介護とは「介助と看護の造語」だと学んだ記憶があります。つまり、発想は看護の下請け、病院で言うところの「看護助手」という位置づけです。

 

あまり大きな声で話すことではありませんが、介護業界歴の長い介護職員は、高齢者に必要な医療行為をマスターしている者が多いと思います。私もその昔、今ではたんなる介護職員には禁止されている医療行為を無資格であるにもかからわず、熱血看護師に叩き込まれ、当たり前にやっていた記憶があります。

 

多くのケースで入居者の受け入れにNOという現象が起きる原因は、介護や看護の能力不足により、自分の業務量が増えることを嫌がるからです。ある職員は、現状の入居者の対応でいっぱいいっぱいなので、これ以上のことに対し、「責任を負えない」と言って「NO」と言います。「責任を負えない」というのがキーワードです。

 

当然、これは人としての責任感から来るものなのですが、このようなことを言う介護職員のいる老人ホームは、逆に言うと経営者が無責任であるということの裏返しということでもあります。困難な入居者を受け入れて、万一、事故があった場合、自分だけが怒られ、矢面に立たされ、さらには責任を負わされる、または負わされたことがあるという経験をしている現場職員は、このような発想になるのも無理はありません。

 

現場で起きたことは、ホーム長や施設長の責任、経営者の責任であるといって、現場職員を守るという姿勢が会社にあれば、このような考えに現場職員が陥ることはないはずです。

 

さらに私が言いたいことは、入居者やその家族の無責任さです。これは、大きな問題だと私は常日頃から言っています。自分のことをホーム側に押し付け、知らん顔。お金さえ払っていればいいんだろう! という発想で、何でもかんでも老人ホーム側に押し付けている入居者や家族が多すぎます。現実として、次のようなことは多々あります。

 

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    ※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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