想定利回りって?投資利回りの裏を読む
不動産投資における利回りも、鵜呑みにしてしまうと物件の本来の収益性を見誤ることがあります。
そこで、一般にはあまり知られていない投資利回りの本当の読み解き方をお伝えしましょう。
■想定利回りは不動産会社の都合で決められる
新築の投資用マンションや入居者がいない空室の物件を販売する際に使われるものが想定利回りです。想定利回りだけでは物件の収益性を見極めることはできません。
なぜなら、想定利回りを計算する際の家賃額は不動産会社が決めているため、その収入額が確定しているわけではないからです。
なかには、想定利回りの根拠となる家賃が、相場よりも高く設定されていることもあります。こうした場合、顧客に約束した想定利回りを守ろうとするあまり、相場よりも高い家賃のままで募集を続けて、いつまでも空室が埋まらないというケースもあります。
想定利回りが使われている場合には、収入の前提となる家賃が周辺相場に見合っているか必ず確かめる必要があります。
■現在の家賃相場で利回りを計算する
入居者がいる投資物件でも、手取り利回りが物件の収益性を正確に表しているとは限りません。なぜなら、現在住んでいる入居者の家賃と周辺相場の家賃に差があることがあるからです。
例えば、建築時から10年間同じ入居者が住み続けていた場合、新築当初の高い家賃で、手取り利回りが計算されている可能性があります。当然新築時の家賃と築10年の家賃とでは、新築物件時の家賃のほうが高くなります。仮にこの入居者が退去したとすると、次の入居者は築10年の物件の相場家賃で募集するので、利回りが下がることが予想されます。
利回りを見る際には、いつから入居者が住んでいるのか、周辺家賃相場との開きがないのかなどをしっかりと確かめておくことが大切なのです。
■修繕積立金は値上がりする
手取り利回りを計算する際に、家賃収入から差し引く修繕積立金は、将来値上がりする可能性があります。それによって、将来の手取り利回りが下落する可能性があります。
新築物件を販売する際に手取り利回りを高く見せるために、あえて修繕積立金が低く抑えられていることがあります。
国土交通省による修繕積立金の目安は1平方メートルあたり335円です。20平方メートルのワンルームであれば、6700円が目安になります。
今はまだ低く抑えられている投資物件でも、大規模修繕工事にそなえるために、いずれは1平方メートルあたり335円程度まで値上がりすることが考えられます。それによって、将来の利回りが下がることがあることも十分考慮しておきましょう。
■入居者がいなければ利回りは机上の計算である
利回りは1年間を通じて満室経営であることを前提に計算されています。そのため、年の途中で空室が発生すれば、当初の利回りを実現することができません。つまり、いくら高い利回りであっても、賃貸需要の少ないエリアの物件の場合は、利回りどおりのパフォーマンスを発揮する可能性が低くなります。
さらに、賃貸需要の少ないエリアの場合は、敷金や礼金を取れなかったり、入居者をつけるために仲介会社にオーナーが広告料を支払ったり、入居後の一定期間中の家賃が無料になるフリーレントをつけなければいけないこともあります。
相対的に低い利回りの物件であっても空室リスクが少なく賃貸需要の高いエリアにある物件のほうが、かえって高いパフォーマンスを発揮することができます。
目先の高い利回りの物件に飛びつくのではなく、賃貸需要まで冷静に見極めて投資物件を選びましょう。