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「いちいち知らせてくるんじゃねえ!」
Aさんはまずは書面で、兄の娘に手紙を書く。まず父が死亡したこと、そして葬儀代をAさんが支払ったこと、まず電話でいいので連絡をほしいことなどを記載した。
殆ど面識がないとはいえ、姪にあたる親類だ。年頃の女性だし、父の死亡を知って悲しむかもしれない、そんな思いだったAさんに兄の娘から思いもよらぬ電話がかかってきた。
「おい、なんでお前が私の住所知ってんだ!」
「あんな父親が死のうが知ったことか。いちいち知らせてくるんじゃねえ!」
若い女性のいきなりの怒号に近いような口ぶりにAさんは絶句した。
その後も兄の娘は支離滅裂な言葉を繰り返す。自分の人生が上手くいかないのは、父親がしょうもないせいだ、などと喚くばかりで会話にならない。それでもAさんは諦めずに要点を話す。
何故か警察に娘ではなく、Aさんに遺体の引取りの連絡が来たこと。
Aさんが火葬や葬儀を費用を出して行ったこと。
また兄には預金と自宅不動産など、若干の財産と呼べるものがあること。
遺骨の引取りもあるので、相続するのならそれで構わないので、遺骨や相続手続きなど、親族として協力してほしいことだ。
すると、兄の娘の対応が少し変わる。
「警察からは何度も連絡があったが、私には関係がないので無視をした。相続手続きについては、協力してやるかやらないかは追って考える。通帳などすべて送ってくれ。遺骨は家が狭いので、とりあえずは送らないでくれ」
Aさんは仕方ないので、通帳や不動産の権利証(登記済証)らしきものを、兄の娘に郵送で送ることにした。
姪の代理人を名乗る弁護士から届いた、突然の通知
それから半年以上が経過した。待てど暮らせど兄の娘からの連絡はない。
Aさんが何度か電話をしたが返事がない。
流石のAさんも痺れを切らして再度、書面にて連絡を取ることにした。
すると2週間後、兄の娘の代理人を名乗る弁護士から突然書面で通知が来た。Aさんが慌てて、書面に記されていた弁護士事務所に連絡をすると、
「相続の手続きはすべて終わった。詳細は言えない。法定相続人ではないあなたには関係ない」
と、一方的に繰り返すばかりだ。
せめてAさんが、すでに負担した諸々の葬儀や火葬、検死などの費用について支払ってほしい旨を伝えると、
「そんな法的根拠はない。一切の支払いはできない。依頼人は『あなた方が勝手にやったことだろう』と言っている」
との回答だった。
法律のことは詳しくないが、さすがにAさんは立腹した。しかし喧嘩をしても仕方ないと思い、せめて遺骨だけは引き取ってほしい、と弁護士に伝えると、
「依頼人としては遺骨は引き取るつもりは一切ない。依頼人は『その辺に捨ててもらっても構わない』と言っています」
との回答だった。