恐ろしい…多くの老人ホームが「要介護1より要介護5の入居者」を受け入れたいワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームの売上は介護保険報酬です。要介護1の入居者よりも要介護5の入居者のほうが3倍程度、国と個人から受け取れる介護保険報酬が多くなります。老人ホームの経営の舞台裏とは。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で、良い老人ホームの選び方を明らかにします。

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都会の老人ホームの料金が高いのは? 

多くの老人ホームの場合、運営費の50%以上は介護看護職員に対する人件費です。

 

したがって、料金の高い老人ホームは、介護看護職員数が多い、と考えてください。もちろん、東京都心の一等地と地方にある老人ホームの料金差の中には、不動産価格の違いがあることは言うまでもありません。1坪何百万円の場所と、数万円の場所とでは、料金は違います。これは老人ホーム業界に限った話ではありません。常識の話です。

 

本連載は老人ホームに関する専門書なので、当然、老人ホームならではの話に照準を定めていかなければなりません。したがって、都会の老人ホームの料金はなぜ高いのか、について、老人ホームならではの事情を踏まえて説明をしていきます。

 

右で申し上げた通り、介護看護職員の人件費が料金設定時の一番の問題です。特に最近では、人材派遣企業からの紹介で介護看護職員を採用しているケースが多いため、人件費というランニングコストだけではなく、採用経費というイニシャルコストも増えています。

 

中には、自前で介護や看護の専門学校などを開設し、学生時代から職員を囲い込む企業も増えてきましたが、昔のようにお礼奉公をしてもらうということが、人道的な視点で現代では「良し」とされていないため、なかなか思惑通りにはいっていないようです。

 

こう言うと、都会だけではなく、地方だって人材の獲得にはコストがかかっていますよ、という声が聞こえてきます。たしかに、地方の老人ホームとて介護看護職員の獲得は容易ではありません。しかし、経費のかかり具合を確認すると、やはり、首都圏は地方の比ではないと思います。

 

さらに、介護職員の賃金が上昇していることも収益を圧迫し、料金を上げている要因です。国は、その対策として、企業に対し介護職員に対する処遇改善加算という介護保険報酬を新設し、企業に代わり介護職員の賃金の肩代わりをしています。さらに、少人数で介護支援ができるようにと、ITやAIを駆使したデジタル化を進めています。そのうち、介護ロボットによる介護支援が、現実のモノとなる時が来るのではないでしょうか?

 

いずれにしても、多くの老人ホームのメインコストは人件費です。繰り返しになりますが、老人ホームの売り上げ全体の50%から60%を占めます。さらに言うと、介護看護職員の質が悪い老人ホームは、必要以上に多くの介護看護職員が必要なため、この割合は当然、増加します。売り上げの70%を占めるような老人ホームもありますが、そのような老人ホームは存続すること自体が難しいと思います。

 

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株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載失敗しない「老人ホーム選び」の鉄則

※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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