2013年3月以降、日本銀行は数百兆円規模で国債を買い取って、日本円を新たに発行したにもかかわらず、インフレ目標の2%にすら届きませんでした。日本は戦後から随分と豊かになって国内の供給力が十分あり、ちょっとやそっとではインフレにならない状態だといいます。元内閣官房参与の藤井聡氏が著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)で解説します。

コロナ対策で100兆円出さないと賃金は上がらない

――正気じゃないですね(笑)。

 

藤井 まさにそうです。無限に国債を発行して財政支出すれば、いずれはハイパーインフレになるでしょうけど、国内の生産施設がこれだけ豊富にある以上、そう易々とそんな事態になるはずがありません。今の日本がハイパーインフレになるとすれば、戦争か何かで生産施設の半分以上が破壊されたりするときくらいでしょう。政府が少々支出を増やしたからといって、ハイパーインフレになるはずがありません。

 

ただ、先にも触れましたが、インフレ率10%とか20%とか、給料が上がっていくペースを超えて物価が上がっていく状況になると、実質的に国民が貧困化してしまうので、おおよそ2〜4%くらいの範囲にインフレ率が安定的に収まっているのがちょうど良い感じになります。実際、日本政府は安倍内閣以降、一貫して「2%」程度のインフレ率を目指すといっています。

 

しかし残念ながら、今の日本のインフレ率は0%前後をうろついている状況。こういう状況では、減税をするか、あるいは国債発行額を増やして政府支出を拡大するかして、インフレ率を2〜4%程度に収まるように調整することが必要です。ちなみに、今のコロナ不況の日本の状況だと、100兆円くらい出しても過剰なインフレになることはあり得ないでしょう。

 

だから逆にいうと、政府は100兆円出すくらいの勢いでコロナ不況対策をやらないといけないわけです。そうじゃないと、ずっと物価が上がらず、賃金も上がらず、ずっと貧乏な国民がいっぱいいるままの現状が続くことになります。岸田内閣は、数十兆円規模の経済対策をやるんだ、といって誕生しましたが、その程度の対策を一回こっきりやったくらいじゃ、コロナ不況が終わるなんてことは絶対ないんです。

 

藤井 聡
京都大学大学院工学研究科教授 元内閣官房参与
木村 博美
フリーランスライター

 

 

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本連載は藤井聡氏の著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

藤井 聡 木村 博美

ポプラ新書

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