【関連記事】25年間の慢性デフレの正体…誰が日本の経済成長を止めたのか
隆盛を極める米国成長株式の現在地
最初に、チャートをひとつお見せします。①2020年3月のパンデミック発生直後の株価安値と、②1998年9月のLTCM危機時の株価安値をそれぞれ100として重ねたものです。
「これが続くならば、どうすれば?」というアクション・プランが大事ですが、ここ数回強調しているとおり、ソリューションは分散投資です。
[図表2]に示すとおり、2000年当時は、さまざまな資産に分散投資をしていれば、成長株式の調整をカバーしてくれました。米国成長株式以外の幅広い資産を積み増すことを検討しましょう。
インフレの予測よりは、分散投資のほうが信頼できる
[図表1]を見ていると、米国成長株式が「そうなってしまう」ときのアクション・プランよりも、どちらかといえば、米国成長株式が「そうならないためには、どうなれば?」というほうが気になるかもしれません。
それは、インフレが落ち着いていくことです。
現在の状況をとてもシンプルに整理すれば、[図表3]のとおりです。すなわち、①インフレが鈍化すれば、利上げは穏やかになり、景気拡大や株価上昇の持続が期待されます。
反対に、②インフレが高止まりすれば、インフレが落ち着くまで引き締めが継続される可能性があり、引き締めが続けば、やがては株価が下落したり、失業率の上昇を招くでしょう。
ただし、多くの投資家にとっては幸いなことに、米連邦準備制度理事会(FRB)のみならず、多くのマーケットエコノミストたちは、インフレが落ち着いていくと見込んでいます。
筆者としては、「インフレが落ち着いていくかどうかは誰にもわかるはずがない」と考えているので、いまはどちらにも備えて、ポートフォリオの分散が重要と訴えています。
少し思い出すと、①インフレ率は、1970年代のように上昇が持続したこともあれば、2010年代のように上向かなかったこともあります。
他方で、②株式や国債のみならず、リートや商品、貴金属などを含む分散投資は(単一の資産や現預金に比べて)景気後退やバブルの崩壊を乗り越えてワークしてきたと言ってよいでしょう。
なかには、③「やがては株価下落・失業率上昇がくるなら、いま全部売却したい」と思う方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、上で述べたように、A.インフレも引き締めもすぐに収束するかもしれませんし、B.(現預金の価値が目減りする恐れのある)「インフレがくるかもしれない」わけですし、C.資産運用から一度出たら、ふたたび戻ってくるのは(タイミングを含め)極めて難しいことです。
インフレ収束や景気後退の予想よりも、両方に賭ける分散投資のほうが信頼できるでしょう。
今回は「どうすればインフレが落ち着くのか」について、整理してみます。