ターゲットが違い、ビジネスモデルが違う
先日も、東京の貿易会社で働いていた人がUターンすることになりました。海外向けの通販もやりたいと言っていた社長に「こういう人材が転職先を探しているのですが、海外展開の計画は今もありますか?」という話をしたら、見事にマッチングが成立しました。
こんなふうに、企業側から求人票が出てくるのを待つのではなく、こちらから働き掛けて求人をハンティングするのが「ジョブ・ハンティング」です。
もう一つの「ジョブ・クリエイト」は、雇用そのものを創り出す(クリエイトする)方法です。
これも実際にあった例ですが、都内でシステムエンジニアをしている人材がUターンするというので、ある会社の社長に話をしたら、「その人が来てくれるなら、社内にシステム部門を新設して迎えるよ」と言って、即決で採用が実現しました。
ジョブ型雇用の転職活動しかしてこなかった人にとってはそんなマッチングの方法があるのかと驚くかもしれませんが、地方ではこちらがむしろ当たり前で、特に「ジョブ・クリエイト」の成功例は私の会社では多いです。
地元企業に日頃から何度も足を運び、経営者や人事担当者との太いパイプがあればこそ、実現できるベストマッチングです。
■大手ではできないオンリーワンのマッチング
先日も名古屋から新潟に転職したいというクライアントが来ました。どうして私の会社を知ったのかと聞いたら、某有名エージェントの名古屋支社で職探しをしたが、担当してくれたキャリアコンサルタントが「うちでは紹介できる転職先がない」と言って、私を紹介したそうです。このクライアントは私の会社でサポートし、無事にあるベンチャー企業で転職が決まりました。
この経験から、やはり大手には大手の、私の会社には私の会社の特性があるのだと改めて実感しました。大手は私の会社のように、企業を1社1社回ってニーズをハンティングしたりクリエイトしたりといった面倒くさいことはやっていられません。大量の情報を集めて迅速にマッチングするというのが、大手に求められる使命です。
私の会社の場合はそれとは逆に、地道に企業と関係を築いて大手ができないサービスを埋めていくことが存在意義にほかなりません。私はこの両者の特徴を「大手は回転寿司チェーンでうちは寿司職人」というふうに例えて社員たちに話しています。
大手はAIを駆使してオートメーションで売上を出していくスタイルで、一定のクオリティーで多くの人を満足させられます。私の会社は一人ひとりの腕で売上を出していくスタイルで、アナログですが人間味のある丁寧なマッチングが提供できます。
つまり、どちらが優れている・劣っているということではなく、それぞれにターゲットとする客層が違い、ビジネスモデルが違うのだということです。
江口 勝彦
株式会社エンリージョン 代表取締役
キャリアコンサルタント