(写真はイメージです/PIXTA)

不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が、借地権の対象となっている土地(底地)を相続するメリット・デメリットを解説するとともに、底地に関するトラブル事例を紹介します。

借地権対象の土地を相続するメリット

借地権の対象となっている土地は、自分で自由に使うことができないばかりか、売却しようにも売却先が限られてしまいます。

 

では、借地権の対象となっている土地を相続することに、なにかメリットはあるのでしょうか? 2つのメリットを紹介していきます。

 

安定した地代収入が得られる

 

借地権の対象となっている土地を相続する大きなメリットの1つは、地代収入を安定的に得られる点です。

 

建物ごと貸している賃貸アパートなどとは異なり、自己名義の建物を保有している借地権者は、よほどの事情がない限り退去することはないでしょう。

 

そのため、建物が建っている限りは、継続的に地代収入を得ることができます。

 

土地にかかる相続税が減額される

 

亡くなった人(「被相続人」といいます)が亡くなったときに持っていた財産など、相続税の対象となる財産が次の基礎控除額を超える場合には、相続税の対象となります。

 

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

相続税の計算をするに際しては、財産評価基本通達のルールに従って、それぞれの財産を評価しなければなりません。財産の評価が高ければ、それだけ相続税額も高くなります。

 

この評価において、借地権の対象となっている土地は、自用の土地などと比較して減額しての評価が可能です。減額割合(借地権割合)はその土地の存する地域によって30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の7段階で定められています。

 

その土地の借地権割合は、国税庁が公表している路線価図から確認することができます。
東京23区など大都市圏ほど80%など借地権割合が高い地域が多く、地方ほど30%や40%など借地権割合が低い傾向にあります。

 

たとえば、自用地としての評価額が5,000万円である土地が借地権の対象となっている場合、この土地の借地権割合が40%である場合の評価額は、原則として次のとおりです。

 

1.借地権の評価額=5,000万円×40%=2,000万円
2.借地権の対象となっている土地(底地)の評価額=5,000万円-2,000万円=3,000万円

 

借地権の対象となっている土地は自由な利用が制限される反面、相続税計算時の評価も低く設定されているのです。

借地権対象の土地を相続するデメリット

借地権の対象となっている土地を相続することには、デメリットが少なくありません。主なデメリットは、次の2点です。

 

土地を自由に使うことができない

 

1つ目のデメリットは、借地権の対象となっている土地は自由に使うことができない点です。

 

たとえば、自分自身の家を建築したい場合や、自分の子の家を建築したい場合であっても、借地権者に立ち退いてもらうことは容易ではありません。

 

借地権の対象となっている土地は、地代の収入源であるとある程度割り切るほかないでしょう。

 

売却価格が低くなりやすい

 

上で解説したように、借地権の対象となっている土地であっても売却をすること自体は可能です。

 

しかし、土地を購入したところで買い手が自由に土地を使用できるわけではないため、第三者に売却する場合には、低い価格でしか売却できないことが多いでしょう。

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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